国指定史跡ガイド 「鬼城山」の解説
きのじょうさん【鬼城山】
岡山県総社市奥坂ほかにある城跡。吉備高原の最南端にある標高約400mの鬼城山に築かれた、古代山城である。663年(天智天皇2)の白村江(はくすきのえ)の戦いでの敗北を受けて、国土防衛のために西日本各地に築かれた山城の一つとみられている。約1300年前の築城と推定され、現在も往時の城壁が残っている。1978年(昭和53)の調査により、城壁は石積みと土塁でつくった堅牢なもので、幅約7m、高さ約6m、すり鉢形の鬼城山の山頂周囲を2.8kmにわたって取り巻いていることが判明した。また、城壁が谷にさしかかる部分に築かれた、通水口のある水門石垣が5つ確認された。城壁に囲まれた城内面積は約29万m2であった。城内では、倉庫とされる礎石総柱建物跡群が発見され、また7世紀中ごろ~8世紀後半とみられる須恵器(すえき)や土師器(はじき)などが出土した。石垣など遺構の存在は古くから知られていたが、城壁の基礎となる列石が見つかり古代山城跡と認識され、1986年(昭和61)に国の史跡に指定された。その後の発掘調査で、角楼(かくろう)跡、城門跡などが発見され、城の外郭の壮大さが次第に明らかになっている。2006年(平成18)から7ヵ年計画の城内確認調査が開始された。現在、整備が進行中で、西門と角楼が復元されている。JR伯備線ほか総社駅から車で約20分。