魏(中国、戦国時代の国)(読み)ぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

魏(中国、戦国時代の国)

中国、戦国時代の国(前403~前225)。戦国七雄の一つ。周と同姓の畢公高(ひつこうこう)の子孫畢万が晋(しん)の献公に仕え、魏地を与えられて魏氏となった。その子孫魏絳(ぎこう)は悼公(とうこう)のとき国政に参与し、しだいに魏氏は晋の六卿(りくけい)の一員として力を伸ばし、韓氏、趙(ちょう)氏とともに、范(はん)、中行、知の3氏を滅ぼし、紀元前453年魏桓子(ぎかんし)のとき実質上晋を三分し、その孫文侯の代の前403年、周室より諸侯と認められた。文侯と子の武侯のころは安邑(あんゆう)(山西省夏県)を都として、現在の山西省南西部を中心に、田子方(でんしほう)、呉起(ごき)らの賢者、名将、さらに相として李克(りこく)や魏成子(ぎせいし)らの人材を登用し、国力充実、領土拡大に努め、高い文化をもつ強国となった。しかし強大化する秦(しん)の侵攻をしだいに受けるようになり、前340年には都を東の大梁(たいりょう)(河南省開封県)に移さざるをえなくなり(そのため魏を梁とよぶこともある)、一時信陵君(しんりょうくん)の活躍で反撃したが、前225年秦の前に滅亡した。

[安倍道子]

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