鰧・虎魚(読み)おこぜ

精選版 日本国語大辞典 「鰧・虎魚」の意味・読み・例文・類語

おこぜ をこぜ【鰧・虎魚】

[1] 〘名〙
オニオコゼ科やハオコゼ科に属するオコゼ類の総称。オニオコゼ、ダルマオコゼ、ハオコゼなど。いずれも形が奇妙で背びれの棘(とげ)に毒をもつ種類が多いが、俗には普通、食用とするオニオコゼをいう。古くから、山神の供物として捧げる風習がある。おこじ。《季・夏》 〔文明本節用集(室町中)〕
謡曲・河水(1541頃)「小鱸鰐水母に、鰹魚虎魚(おこぜ)
容貌の醜い女性のたとえ。
③ 「いらむし(刺虫)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
[2] お伽草子。一巻。作者未詳。海に住むおこぜの姫を山の神がみそめ、川獺(かわうそ)の仲介で夫婦となる物語。山の神はおこぜを見ると喜ぶという俗信にちなむもの。別名、山海相生物語。

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