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供物 くもつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

供物
くもつ

神や仏に供える飲食物その他の物品をいう。神前に供えるものを,神供 (じんく) または神饌といい,仏前に供えるものを供養物という。前者は,生産し,あるいは採取したものを神に供え,神人共食するところに意義をもつもので,本来は煮焼した熟を主としたが,今日では一定の形式をもつようになり,生饌を主とするようになってきている。後者の供養物は,仏に対する信仰帰依,報恩感謝の意をもってなされるもので十種供養がこれにあたり,さらに寺院から参詣者に授ける菓子類をもいうようになっている。

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デジタル大辞泉の解説

く‐もつ【供物】

《「ぐもつ」とも》神仏に供える物。供養物。お供え。おそなえもの。

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百科事典マイペディアの解説

供物【くもつ】

本来は神や霊に供える飲食物,物品などの総称。神供(じんぐ),神饌(しんせん)とも。神と人間の関係を明確にするために捧げる場合が多い。初物を供えるのが一般的。感謝のため,贖罪(しょくざい)のため,願掛け誓約のためなどがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

くもつ【供物】

神仏に供えるもの。神に供えるものを神饌,仏に供えるものを一般に仏供という。神饌はまたミケという。ミケは御食の意である。したがって神饌の中心は食饌である。普通,稲,米,酒,鳥獣,魚介,果実,蔬菜,塩水などがあるが,稲には和稲(にぎしね)・荒稲(あらしね),米には粢餅(しとぎもち)・糈米(くましね)・粿米(かしよね)・散米(さんまい),酒には白酒(しろき)・黒酒(くろき)・清酒・濁酒・醴酒(ひとよざけ),蔬菜には海菜・野菜,鳥獣には毛和物(けのにごもの)・毛麁物(けのあらもの),魚類には鰭広物(はたのひろもの)・鰭狭物(はたのさもの)などがある。

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大辞林 第三版の解説

くもつ【供物】

神仏や死者の霊などに、供養くようのためそなえるもの。そなえもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

供物
くもつ

狭義には日本の神祭において神に供える飲食物をさすが、より広くは儀礼に際し、超自然的存在に対して供えられる飲食物その他の物品一般をいう。供物を捧(ささ)げる対象としての超自然的存在が存在し、供物を捧げることによって彼らとコミュニケーションをとることができるという信仰に基づいている。類似することばに供犠(くぎ)があるが、供犠は犠牲として捧げられる動物を傷つけ、あるいはその生命を奪うことに儀礼的な意味が集中するのに対し、供物の場合、かならずしもこうした犠牲の意味を含むもののみでなく、広く一般的な物品を包括する。たとえば台湾漢人の中元節では、身寄りがなかったり、若死に、異常死した者の霊(孤魂(ここん))に対し各戸が供物を供えて鎮魂するが、その供物のなかには、ろうそく、線香、金紙などの祭祀(さいし)用品、トリやブタの肉、御飯、果物、酒などの飲食物のほか、手鏡、鋏(はさみ)などの日用品や洗面用のたらいと手拭(てぬぐい)までが含まれる。
 儀礼全体が超自然的存在に対しての働きかけとして行われる場合、祭祀用品一般からとくに供物のみを区別することはかならずしも可能ではないが、少なくともそれは対象に対して捧げられたものとして、儀礼中、ないしは儀礼後の消費、解体を伴うところに特色があると考えられよう。飲食物の場合、一般には儀礼の参加者によって消費される。日本の神祭ではこの消費は直会(なおらい)と称され、神と人々との会食として重要性をもった。中国、とくに中国南部の大規模な宗族の祖先祭祀においても、供物として捧げられたブタの肉は、一族の者たちに均等に分配される習わしであった。このようにして、儀礼に伴う供物の消費は、社会的に公認された飽食の機会としての性格ももっている。とくにタンパク資源の希少な社会において、供犠に伴う家畜や野生動物の肉の消費は、栄養摂取上重要な意味をもっている。たとえばニューギニア高地人は、普段はいも類などのデンプン質の食事に頼っているが、儀礼のときに家畜のブタを多量に消費する。彼らにとって儀礼は、ブタを消費するほとんど唯一の機会である。儀礼は多くの社会において一定周期のもとに行われるから、供物としての食料の消費が、食料資源と人間との間のバランスを保つ一つのメカニズムとなっているように考えられる場合も少なくない。なお、供物の内容は儀礼のもつ形式性の重要な一要素を構成していることも多く、それゆえ古い時代の食物や調理法が供物のなかに保存されている傾向がある。[瀬川昌久]

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