麴黴病(読み)こうじかびびょう(その他表記)aspergillus disease

改訂新版 世界大百科事典 「麴黴病」の意味・わかりやすい解説

麴黴病 (こうじかびびょう)
aspergillus disease

昆虫に子囊菌類コウジカビAspergillusの糸状菌が寄生して起こる病気の総称。とくにカイコで重要な病気であり,病原菌としてA.flavusA.oryzaeA.tamariA.ochraceusなどがある。カイコでは稚蚕期に感染しやすく発病すると急死する。齢が進むにしたがってカイコの抵抗力は増大するが,熟蚕期に再び感染しやすくなり,繭の中で幼虫あるいはさなぎの形で発病して死に至る。幼虫の皮膚に付着した分生子が発芽すると菌糸は皮膚を貫通し,体内に達すると生育伸長して各組織の一部を侵害する。幼虫は食欲不振となり発育が不斉一になって急激に死亡する。この致死機構には病原菌から分泌される毒素アフラトキシン)も関与している。稚蚕の病死体は軟化黒変し,全面が黄緑色あるいは褐色の菌集落で覆われる。繭中の病死体は暗色を呈し全身が乾固するが,多湿条件にあうと黄色,黄褐色,茶色の分生子が多量に形成され,それらで死体の全面が覆われる。こうじかび病菌にはホルマリン抵抗性が発達しやすく,このため消毒剤としては界面活性殺菌剤(逆性セッケン類),ヨード剤などが有効である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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