黒闇(読み)コクアン

デジタル大辞泉 「黒闇」の意味・読み・例文・類語

こく‐あん【黒闇/黒暗】

くらやみ。暗黒。また、仏教で、迷いの闇。
三塗さんづの―ひらくなり」〈三帖和讃
黒闇天」の略。
黒闇地獄」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「黒闇」の意味・読み・例文・類語

こく‐あん【黒闇・黒暗】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. まっくらなこと。くらやみ。暗黒。転じて、仏教で智慧功徳のないこと。また、三悪道などにもたとえる。
      1. [初出の実例]「下は黒闇の衆生も皆照さるらんかしとぞ見ゆめる」(出典:栄花物語(1028‐92頃)御裳着)
      2. 「愚人は黒暗の中に行歩すと云へり」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉五)
      3. [その他の文献]〔浄住子‐在家懐善門〕
    2. 色が黒いこと。真黒。
      1. [初出の実例]「黒闇のわん折敷用る事、いまいましくおぼえ侍り」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)下)
    3. こくあんじごく(黒闇地獄)」の略。
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ]こくあんてん(黒闇天)」の略。
      1. [初出の実例]「三千世界誰能逃黒闇之捜来」(出典:万葉集(8C後)五・七九四・右詩序文)
      2. [その他の文献]〔北本涅槃経‐一二〕
    2. [ 二 ] 十四羅刹女の一人。〔孔雀王呪経〕

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