鼎・釜(読み)かなえ

精選版 日本国語大辞典 「鼎・釜」の意味・読み・例文・類語

かな‐え ‥ヘ【鼎・釜】

〘名〙
① (「金瓮(かなへ)」の意。「へ」は酒食を入れる容器) 古く、飲食物を煮るのに用いた金属の器。足鼎(あしがなえ)といい、足のないものは丸鼎(まろがなえ)という。元来は、古代中国の祭器。炊事用であったが、神にささげる犠牲(いけにえ)を煮るようになって祭器となった。青銅製で、多くは三脚、両耳付きで表面に虺龍(きりゅう)饕餮(とうてつ)、雷文などが施されている。
書紀(720)天智一〇年一二月(寛文版訓)「又大炊省(おほひのつかさ)に八の鼎(カナヘ)有りて鳴る」
※太平記(14C後)二〇「呉魏蜀の三都相並んで、鼎(カナヘ)の如く峙(そばだ)てり」
王位または高い権威のしるし。中国の夏(か)禹王(うおう)が洪水を治めて開いた九つの地から銅を集めて九鼎(きゅうてい)をつくり、宝としたところからいう。
③ (足鼎が三本足で立っているところから) 三方に位置することにたとえていう。
※或る女(1919)〈有島武郎〉「遙か離れた船艙(せんさう)の出口に田川夫妻と鼎(カナヘ)になって」
④ 女陰をいう。丹鼎
柳橋新誌(1874)〈成島柳北〉二「未だ阿嬢の室に入らずして、徒らに指を阿嬢の鼎に染むる者、往々有り」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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