キリストに倣いて(読み)きりすとにならいて(英語表記)De Imitatione Christi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キリストに倣いて」の意味・わかりやすい解説

キリストに倣いて
きりすとにならいて
De Imitatione Christi

キリスト教修徳文学でもっともよく知られた古典の一つ。脱世俗的な特徴がきわめて強い。中世後期の信心一般を理解させてくれるばかりでなく、今日までもキリスト教的修業、信心への手引として、とくに修道者などに広く読まれている。非常に多くの版があり、50か国語以上に訳された。邦語訳も数種類ある。著者問題に関し長年論議されたが、現在一般にトマス・ア・ケンピスで疑いはないとされている。

 全体は4巻からなり、第1巻は1410年に始められ、全巻完成までに約30年かかったといわれている。第1巻では霊的生活への勧め、世俗的傾向からの自己解放や神への回心の準備の方法、第2巻では神への回心を促進させる呼びかけと勧め、第3巻では真の内的慰め、第4巻では強い信仰をもった聖体拝領への勧め、などがそれぞれ取り扱われている。

[大谷啓治]

『大沢章・呉茂一訳『キリストにならいて』(岩波文庫)』『由木康訳『キリストに倣いて(イミタチオ・クリスチー)』(角川文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のキリストに倣いての言及

【イミタティオ・クリスティ】より

…1427年ころ完成,直ちに多数の写本が流布,印刷本は72年に出たが,83年のベネチア版は1500年までに50版を重ね,18世紀末にはすでに1800の異なった版と翻訳が現れた。日本でも1596年刊のキリシタン版《こんてむつすむんぢ》以来,《キリストに倣いて》《キリストのまねび》など,10種類以上の訳が試みられている。【稲垣 良典】。…

※「キリストに倣いて」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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