トラボア(英語表記)travois

翻訳|travois

改訂新版 世界大百科事典 「トラボア」の意味・わかりやすい解説

トラボア
travois

北アメリカ,大平原地方のインディアンの間で使用されていたそりに似た輸送手段。ふつう2本の棒の一端イヌ両側に結びつけ,他端は地面を引きずるようにし,棒の中ほどにつけた台か網に荷物を入れた。スペイン人の渡来とともにウマが導入されてからは,イヌに代わってウマが使用され,より多くの荷物が運ばれた。イヌに引かせるためには専用の短い棒のトラボアが作られたが,ウマに用いるのはティピ円錐形テント)の柱を使うのがふつうであった。ティピの柱を数本ずつ束ねてロープでしばり,ウマの両脇に固定した。ティピ用のテントをたたんで台にのせ,その上にさらに多量の荷物をのせることもあった。病人,老人,子どもを運ぶのにも使用された。また,特別のヤナギ製のかごを固定し,子イヌを運ぶこともあった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android