中央アジア情勢(読み)ちゅうおうあじあじょうせい

知恵蔵 「中央アジア情勢」の解説

中央アジア情勢

1991年に突然独立を迫られたカザフスタンウズベキスタンキルギスタジキスタントルクメニスタンの5カ国は、それぞれが独立国家建設の困難な道を歩んでいる。経済面で各国格差が生じ、それが政治関係にも影響している。ウズベキスタンとカザフスタンがこの地域での盟主としての地位を争ってきたが、近年は、石油などエネルギー資源ゆえに経済的にカザフスタンに大きく水をあけられた。中央アジア諸国は様々な経済協力機構をこれまで創設してきたが、いずれもまともに機能していない。その理由も、経済格差ゆえに各国の調整がうまくいかず、利害がぶつかり合うからである。もう一つの大きな変化は、米同時多発テロのあと、米軍が中央アジアに駐留することになったことだ。そのため、経済支援や安全保障面で米国への期待が一気に高まった。しかし、最近は支援が期待するほどでもなかったとして、米国への失望感も生まれて、ロシアが積極的にエネルギー面や軍事面で影響力を強めている。日本は「中央アジア+日本」の協力枠組みを提唱し、06年8月、小泉首相がカザフスタン、ウズベキスタンを訪問した。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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