三つの道(読み)ミツノミチ

デジタル大辞泉 「三つの道」の意味・読み・例文・類語

みつ‐の‐みち【三つの道/三つの途/三つの径】

天・地・人の総称三才さんさい。→天地人
「―顕分わかれてよりこのかた」〈允恭紀〉
三途さんず」を訓読みにした語。
「天に生まるる人のあやしき―に帰るらむ一時に思ひなずらへて」〈松風
三径さんけい」を訓読みにした語。
「寺に入りて見れば…、―さへわからざる中に」〈読・雨月・青頭巾〉

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精選版 日本国語大辞典 「三つの道」の意味・読み・例文・類語

みつ【三つ】 の みち

  1. 天・地・人の総称。三才。
    1. [初出の実例]「三才(みつノミチ)(あらは)し分(わか)れしより以来(このかた)」(出典:日本書紀(720)允恭四年秋九月(図書寮本訓))
  2. ( 「三途(さんず)」の訓読み ) 地獄、餓鬼畜生の三悪道。
    1. [初出の実例]「天に生るる人の、あやしきみつのみちに帰るらむ一時に、思ひなずらへて、けふ、ながく別れたてまつりぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)松風)
  3. ( 「三径(さんけい)」の訓読み ) 隠者の庭園の三つの小道。漢の蒋詡(しょうく)が松・菊・竹を植えた三つの道を庭にもうけた故事による。
    1. [初出の実例]「この寂しき宿にも、かならず分けたる跡あなるみつのみちと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
  4. 三方向の道。
    1. [初出の実例]「以余の別将等、各三道(みつのみち)より進みて」(出典:日本書紀(720)天武元年七月)

三つのみちの補助注記

の「源氏」例は、一説に門、井戸、厠へ行く道、つまりどの家にも必ずある三つの道で、生活ぶりを示すものとする(河海抄)。

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