餓鬼(読み)がき(英語表記)preta

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

餓鬼
がき
preta

仏教で説く六道の一つの餓鬼道に住むもの。あるいは人間とともに住む餓鬼もいるといわれる。常に飢えと渇きに苦しみ悩まされ,餓鬼の腹は出て皮と筋と骨ばかりで,長い間食物について聞くことも見ることもなく,たとえ見たとしても食べることはできない。また食べようとして口のところにもってくると炎となってしまうこともあるといわれる。さらに子供の称に用いることもある。

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デジタル大辞泉の解説

が‐き【餓鬼】

《〈梵〉pretaの訳。薜茘多(へいれいた)と音写》生前の悪行のために餓鬼道に落ち、いつも飢えと渇きに苦しむ亡者。
餓鬼道」の略。
《食物をがつがつ食うところから》子供を卑しんでいう語。「手に負えない餓鬼だ」

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百科事典マイペディアの解説

餓鬼【がき】

サンスクリットpretaの漢訳。鬼とも訳す。六道,三悪道の一つ。前生の悪行や貪欲(どんよく)な性質の報いとして餓鬼道に生まれるといい,飲食に苦しみ,食う物が得られないものを無財餓鬼,膿血を食べたり,残り物や施し物を食べることができるものを有財餓鬼という。→施餓鬼
→関連項目餓鬼草紙

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デジタル大辞泉プラスの解説

餓鬼

ちばてつやによる漫画作品。北国山奥で両親をなくし、村から追われた主人公が心を病んだまま成長し、数々の凶悪犯罪に手を染めていく物語。『ぼくらマガジン』1970年第6号~第36号に連載。講談社少年マガジンKC全2巻。

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世界大百科事典 第2版の解説

がき【餓鬼 preta[サンスクリツト]】

仏教においては,最高の境界である仏から最下位地獄までを十位に分かち,餓鬼はその下から2番目の悪趣(あくしゆ)(悪い境界)の住人である。絶えず飢えと渇きに苦しみ,咽喉はきわめて細く,腹部はふくれた姿で表されている。飲食物を口に近づけるとすべて炎となり,口に入れることはできないのである。天,人,修羅(しゆら),畜生(ちくしよう),餓鬼,地獄を六道とも六(悪)とも言い,行いの善悪によって六道の中で生死を繰り返すのが輪廻(りんね)である。

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大辞林 第三版の解説

がき【餓鬼】

〘仏〙
生前の悪業の報いで、餓鬼道に落ちた亡者もうじや。体はやせ細り、のどは針のように細く、また、手にとった食物が火に変わってしまうため常に飢えに苦しんでいるとされる。
「餓鬼道」の略。
食物に飢えている者。また、貪欲な者。
[2] 〔食物をむさぼることから〕
子供を、卑しめて言う語。 「うるさい-どもだ」
俗に、子供の意。 「 -の頃から」 「 -大将」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

餓鬼
がき

サンスクリット語プレータpretaの訳で、悲惨な状態にある死者をさす。原語は単に「逝ける者」を意味し、死者の霊をさす漢語「鬼(き)」に相当したが、仏教世界観において、迷いの生存形式である六道(ろくどう)の一つ(餓鬼道)となった。そこに住む者は絶えず飢餓に苦しめられるので「餓鬼」の熟語を生じ、咽(のど)は針のごとく細く、腹は山谷のごとくに膨れているなどと形容される。施餓鬼会(せがきえ)や盂蘭盆会(うらぼんえ)などでは彼らへの供養(くよう)が行われる。なお、俗に子供を餓鬼と称するのは、彼らが絶えず腹をすかせている存在だからである。[定方 晟]

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精選版 日本国語大辞典の解説

が‐き【餓鬼】

〘名〙 (preta の訳語。薜茘多と音訳)
① 「がきどう(餓鬼道)」の略。
※今昔(1120頃か)六「在生の時、財を貪(むさぼり)しが故に、餓鬼の中に堕(おち)たり」
※正法眼蔵(1231‐53)身心学道「地獄・餓鬼・畜生・修羅等のなかにしても」
② 仏語。六道(りくどう)の一つの餓鬼道に落ちた亡者。
(イ) 生前犯した罪の報いによって、餓鬼道に落ちた亡者。さまざまなものがいるとされ、やせこけて腹だけふくれた姿をし、のどが針のように細く、しかも飲食しようとする食物はたちまち炎に変わるため飲食することができなくて、常に飢えと渇(かわ)きとに苦しんでいるとされるなど。
※万葉(8C後)四・六〇八「相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼の後(しりへ)に額(ぬか)つくごとし」 〔大智度論‐三〇〕
(ロ) 後世を弔う者もなく、苦しんでいる無縁の亡者。
③ (比喩的に) ②のような状態にある者。
(イ) 飢えてやせ、または異様な姿をしている人。
※日葡辞書(1603‐04)「Gaqi(ガキ)〈訳〉比喩。飢えてやせ衰え形を崩し、青ざめた人」
(ロ) 飲食をむさぼったり、物惜しみしたりする人。転じて、人を卑しめ、ののしる語として用いる。
※日葡辞書(1603‐04)「Gaqi(ガキ)〈訳〉人を叱り、おとしめることば。例、アノ gaqimega(ガキメガ)
④ (食物をむさぼるところから) 子供を卑しめていう俗語。
※咄本・軽口あられ酒(1705)四「口のすぎたがきとてにらむ」
※夢酔独言(1843)「がきのじぶんよりわるさ許りして」
⑤ 「がきやみ(餓鬼病)①」の略。
⑥ 楊弓、大弓で銭を賭け物にするとき、一銭をさす隠語。
※随筆・一時随筆(1683)「かけものは檀紙をも、すきはらをも、たんざくをも用ゆる也。さて銭のときは、一銭を餓鬼(ガキ)、二銭を地といひ」

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世界大百科事典内の餓鬼の言及

【ペタ】より

…ある量を表すときの単位につける接頭語で,1015倍の意味。記号にはPを用いる。国際単位系(SI)でSI接頭語の一つとして採用されている。例えば,光が1年間に進む距離,すなわち1光年は9.46×1015mであるが,これは9.46Pm(ペタメートル)と表せる。【大井 みさほ】…

【鬼】より

…【中村 茂子】
[鬼と仏教]
 〈おに〉の観念に仏教が及ぼした影響は小さくない。仏教では〈死者〉(プレータpreta)の漢訳語に〈鬼〉の字を使っている。ただし,この死者は六道輪廻(りんね)のうちにあり,絶えず飢えているので,〈餓鬼〉という熟語で呼ばれている。…

【プレータ】より

…古代インドの宗教に現れる死者霊。〈去った者〉〈死者〉を意味する語で,バラモン教では,とくに死亡してから1年間,つまり火葬をはじめとするさまざまな儀礼と,最後に行われるサピンディー・カラナ(合霊祭)によってピトリpitṛ(祖霊)の列に加えられるまでの間の死者霊を指す。祭祀の対象となる祖霊に昇格する前の不浄の死者霊である。ところが死者に対し上述の一連の儀礼が,子孫が絶えてしまうなどの理由で行われない場合,死者霊は不浄のまま,さらに攻撃的になってさまようことになる。…

【鬼】より

… 地獄で亡者を責める役柄の鬼は,千葉県匝瑳(そうさ)郡光町の広済寺で行われる鬼来迎(きらいごう)に登場するが,この鬼に責めてもらった病弱な者は,鬼の持つ霊力によって健康になるという信仰もある。地獄の鬼は京都市の壬生(みぶ)寺に伝承されている大念仏狂言の《賽の河原》《餓鬼角力(がきずもう)》にもみられる。この他,鬼は田楽や能・狂言にも登場する。…

【プレータ】より

…さらに,このような儀礼による供物を絶たれた霊は飢渇にさいなまれ,あさましい物を食し,あさましい姿をとると考えられた。プラーナに現れるこのプレータの姿は,仏典にみられるプレータ(餓鬼)の姿に等しい。ただし,ヒンドゥー教のプレータは祭祀を絶たれた者であるのに対し,仏教のそれは,前世で食物に対するむさぼりの心の強かった者が餓鬼道に落ちるというように,業と輪廻の世界観で合理化されているのが特徴である。…

【無縁仏】より

…また家族とは無関係であるが,自己の屋敷地にかつて住んでいた他人の霊を屋敷先祖,屋敷ボトケとなかば家族的に扱いながらも,これを無縁仏視してまつることもある。台湾の漢族にみられる中元節の餓鬼は横死した人,恨みを残して死んだ人,夭折した人,死後の世話をしてくれる子孫をのこさずに死んだ人などの霊であるが,無縁仏の性格を考えるうえに参考となる。ホカドン,トモドン,お客ボトケなどのいい方も無縁仏の概念に一つの規定を与えている。…

※「餓鬼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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