サンスクリットのtiryag-yoniの訳語。原語のtiryac(本来はtiryañc)は〈横の〉を,yoniは〈生れ〉を意味している。それゆえ,〈横に動く生き物〉で,獣・動物を指す語である。畜生と訳したのは,前半部のtiryacのなまった形に畜の音を当て,後半のyoniは意味をとって生としたものかと思う。〈傍生(ぼうしよう)〉とも訳されている。古来,人が食用や力役(りきやく)のために畜養するけものであるから,畜生と名づけられたと誤って解釈され,また傍生の傍は傍行(ぼうこう)(横ざまに動く)の意味ともされている。仏教では,仏や人間やすべての動物の状態やあり方を順位をつけて分類して十界(じつかい)とするが,畜生趣(ちくしようしゆ)(畜生の状態)はそれらの下から3番目で,地獄,餓鬼(がき)と合わせて三悪趣(さんあくしゆ)と呼ばれ,悪い行いの結果生まれるところとされている。また,この語は本来仏教用語であったが,その意味から広く他人をののしったり,人生の悪行や苦しみをあらわす場合にも用いられている。
執筆者:井ノ口 泰淳
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「人間以外の生物」を意味する仏教用語。サンスクリット語はティリヤンチtiryañcで、傍生(ぼうしょう)とも訳し、「身体を地面に平行にして進むもの」を意味する。漢訳「畜生」は、人間に養われ酷使される動物の意。いずれにしても好ましくない生存形式として、地獄、餓鬼(がき)とともに「三悪道」を構成し、六道(ろくどう)の一つに数えられる。『倶舎論(くしゃろん)』に「傍生の本拠地は大海であるが、のちに流転(るてん)して諸処に広がった」とある。経典により、空行(くうぎょう)、陸行(りくぎょう)、水行(すいぎょう)の3種、昼行、夜行、昼夜行の3種、胎生(たいしょう)、卵生(らんしょう)、湿生(しっしょう)、化生(けしょう)の4種などに分けられている。なお日本では人をののしることばに用いられる。
[定方 晟]
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