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松風 まつかぜ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

松風
まつかぜ

(1) 能の曲名。三番目物。田楽能『汐汲 (しおくみ) 』に基づく観阿弥の原作を世阿弥改作したもの。古くは『松風村雨』ともいう。旅僧が,須磨の在原行平の愛人であった松風,村雨という2人の海女の亡霊に会い,特に松風の霊は恋慕のあまり狂おしくなって,形見の衣装を着けて舞う (中の舞) と思うと夢がさめ,ただ松風の音ばかりがしていたという内容。世阿弥自身,会心の作としている曲。歌舞伎,浄瑠璃にも松風,村雨を扱ったものが多い。 (2) 地歌・箏曲の曲名。 (a) 『古松風』『大阪松風』ともいう。岸野次郎三作曲,佐渡島伝八作詞。三下り。今日ではほとんど演奏されない。 (b) 『新松風』『京松風』ともいう。作曲者未詳。 (a) を原曲とする。二上り。 (3) 山田流箏曲。奥歌曲。1世中能島検校と3世山木検校の合作。長瀬勝男一 (かつおいち) の協力を得たともいわれる。作詞は,一説に宇和島藩伊達家から島原藩松平家にとついだ姫君 (北白川能久親王妃富子か) 自身,あるいは夫に死に別れた姫君を慰めるために,里親が箏商重元に「松風」という銘の箏を作らせ,その箏にちなんで詠んだ詞章に曲がつけられたとする説もある。箏の手法や各部の名称などを縁語として詞章に綴りながら,死別した夫を偲ぶ心を歌い,砧地を合せる「砧」の合の手,「楽」の手など,器楽的なおもしろさが聞きどころとなっており,よく演奏される。箏は半雲井調子から四上り平調子。三弦は本調子から三下りを経て,本調子に戻り二上りで終る。

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デジタル大辞泉の解説

しょう‐ふう【松風】

松に吹く風。松籟(しょうらい)。松韻(しょういん)。まつかぜ。

まつ‐かぜ【松風】

松に吹く風。松籟(しょうらい)。
茶の湯で、釜の湯の煮え立つ音。
和菓子の一。小麦粉に砂糖を加えて溶き、平たく焼いて、表に砂糖液を塗りケシ粒やゴマを散らしたもの。

まつかぜ【松風】[曲名・書名]

謡曲。三番目物観阿弥作、世阿弥改作。古今集などに取材。昔、在原行平に恋をした須磨の海女(あま)の姉妹、松風と村雨の霊が現れ、思い出を語って狂おしく舞う。
箏曲(そうきょく)。山田流。初世中能島松声・3世山木大賀が明治初年ごろ作曲。宇和島の伊達家から島原の松平家へ嫁した姫君が、夫に死別後、思い出を箏歌(ことうた)にしたもの。
源氏物語第18巻の巻名。光源氏31歳。明石の上上洛、源氏は明石の上を訪問し、紫の上がそれを嫉妬(しっと)することなどを描く。

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百科事典マイペディアの解説

松風【まつかぜ】

(1)能の曲目。鬘(かつら)物五流現行。田楽の能《汐汲》を観阿弥世阿弥が改作したもの。須磨の秋,月下に汐を汲む姉妹の海人乙女の詩情と,在原行平への思慕に舞い狂う哀れさと,2場に分かれながら中入りのない異例の夢幻能
→関連項目熊野

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説

まつかぜ【松風】

①和菓子の一種。小麦粉・砂糖・水あめ・白みそなどを混ぜ合わせ、上になる面にけしの実やごまなどを散らし、天火などで焼いたもの。カステラのようにスポンジ状に作って切り分けるもの、せんべいのような薄い板状のものなどがある。◇「松風」「浦」「寂し」が縁語などとして慣用的に用いられることから、「浦」と「裏」を掛けたもの。京都で作られはじめ、表は焼き色が濃く、けしの実を振って趣があるが、裏は模様もなく「うら寂しい」ので名づけたという話が、江戸後期の田宮仲宣の随筆「東牖子(とうゆうし)」(1803年、叢書『橘庵漫筆』所収)に収められている。
②「松風焼き」の略。「鳥松風」のように用いる。⇒松風焼き

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日本の企業がわかる事典2014-2015の解説

松風

正式社名「株式会社松風」。英文社名「SHOFU INC.」。精密機器製造業。大正11年(1922)「松風陶歯製造株式会社」設立。昭和58年(1983)現在の社名に変更。本社は京都市東山区福稲上高松町。歯科用材料・機器製造会社。業界大手。人工歯・研削材・歯科用合成樹脂などを製造。欧・米・中国に販売拠点を展開。東京証券取引所第1部上場。証券コード7979。

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世界大百科事典 第2版の解説

まつかぜ【松風】

日本の芸能・音楽の曲名。在原行平と松風・村雨の伝説に基づくものと,それとは無関係のものとがあり,また,この曲名ではないが,同一素材に基づくもので,松風村雨物と統括されるものもある。(1)能 三番目物鬘物かつらもの)。古作の《汐汲(しおくみ)》を原拠にした観阿弥作の能に,世阿弥が改作の手を加えたもの。シテは海人(あま)松風の霊。旅の僧(ワキ)が須磨の浦を訪れる。月の美しい秋の夜で,2人の若い女の海人(シテ・ツレ)が,月影を乗せた汐汲み車を引きながら,浜辺の夜景をめでて塩屋に帰って来る(〈上歌(あげうた)・下歌(さげうた)・ロンギ〉)。

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大辞林 第三版の解説

しょうふう【松風】

松の木に吹く風。まつかぜ。

まつかぜ【松風】

松を吹く風。
茶の湯で、釜の湯の煮え立つ音。まつかぜのおと。
和菓子の名。小麦粉を溶かして平たく四角に焼き、表に砂糖の液をぬり、ケシの実を散らしたもの。 〔裏には何もつけないので、「浦さびし」の意から名づけたという〕

まつかぜ【松風】

能の一。三番目物。世阿弥ぜあみ改作。「わくらはに問ふ人あらば須磨の浦に藻塩たれつつ侘ぶと答へよ」という在原行平の歌を主軸に、行平を恋慕する二人の海女あまの姉妹、松風と村雨の情熱を、夢幻能の構成で幽玄に脚色する。
能の「松風」に基づいた浄瑠璃・歌舞伎の通称。浄瑠璃「松風村雨束帯鑑」「行平磯馴松ゆきひらそなれのまつ」など。
山田流箏曲の一。初世中能島松声・三世山木大賀作曲。銘を「松風」という琴にちなんだ追善物。また、生田流にも二曲の同名異曲がある。
源氏物語の巻名。第一八帖。

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

松風 (マツカゼ)

動物。マルスダレガイ科の貝

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世界大百科事典内の松風の言及

【在原行平】より

…《古今集》巻十八には〈事にあたりて〉須磨に蟄居した時の作〈わくらばに問ふ人あらば須磨の浦に藻塩たれつつわぶと答へよ〉があり,《源氏物語》の〈須磨〉の巻はこれに拠ったとも言われる。また,この歌にちなむ謡曲《松風》は須磨を舞台として,行平ゆかりの松を配し,生前の彼に愛されたという海女松風・村雨の霊が登場する作品である。《古今集》巻八に〈立別れ因幡の山の峯に生ふる松とし聞かば今帰りこむ〉があり,この歌は百人一首にも採られている。…

【汐汲】より

…作曲2世杵屋正次郎。能の《松風》から取材。海女(あま)の松風が,在原行平のかたみの烏帽子,狩衣を着て恋人を偲ぶ振りをする。…

※「松風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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