5月流血事件(読み)ごがつりゅうけつじけん/5がつりゅうけつじけん

知恵蔵 「5月流血事件」の解説

5月流血事件

1992年5月、前陸軍司令官のスチンダ首相の退陣を求める大規模なデモ集会が首都バンコクで開かれ、軍隊発砲して多数の死傷者を出した事件。スチンダは前年2月のクーデターの中心人物で、4月に首相に就任したばかりだった。首相退陣要求集会が5月になって始まったのは、5月4日にチャムロン元バンコク都知事がハンストによって集会への結集を呼びかけたため。連日多数の市民が集会に参加、軍幹部はこれに対して危機感を抱き、5月17日深夜に軍隊を投入。19日まで非武装の市民を相手に発砲を繰り返した。5月20日に国王収拾に乗り出し、スチンダは5月24日に辞任。事件後、国軍は政治からの撤退を余儀なくされた。都市部中間層がタイ政治の主役となったことを示す事件だ。

(片山裕 神戸大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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