FISH法とSKY法

内科学 第10版の解説

FISH法とSKY法(染色体分析)

(3)FISH法とSKY法
a.FISH法
 血液腫瘍の病型に特異的な遺伝子再構成は,相互転座により形成されることが多いので,転座切断点の2種類のプローブを用いて遺伝子の融合や分離を検出するdouble color FISH(DC-FISH)が普及している(図14-5-4)(古庄,1996).分裂中期細胞だけでなく間期核でも異常を検出できることから,遺伝子診断の臨床検査法として確立している. FISH法は,SKY法では検出できない1 Mb以下の微小な転座の検出に有用である.特に,B細胞腫瘍で特異的に認められるIGH転座のように,キメラ遺伝子を形成しない場合にFISHは欠かせない.また,細胞単位でゲノム変異を検出できるので,不均一な腫瘍クローンの解析に有用である.最近,ホルマリン固定パラフィン包埋切片上でFISHを行う方法が確立され(組織FISH,tissue-FISH),日常の病理診断に用いる組織標本を用いることが可能になった.
b.SKY法
 すべての染色体を特有の色調で識別する技術がSKY法である(図14-5-4).蛍光標識を直接ラベルしたヌクレオチドでDNAを標識し,その種類と混合比を変えたプローブミックスを用いる.SKY法は,複雑な核型異常の同定に加えて,同じようなサイズと染色性のバンド間に生じた転座の解析に威力を発揮する.検出限界は,染色体バンド1個の3~5 Mbと考えられる.また,反復配列に由来するシグナルをCot1 DNAで抑制するので,動原体領域と染色体末端部の評価は困難である.SKY法では,染色体腕内の欠失や重複あるいは逆位を検出することは不可能である.したがって,対比染色のDAPI像を反転強調したバンドは染色体再構成の切断点の同定に欠かせない.転座や挿入などの構造異常によって隣接した蛍光が境界領域で合成された色調を呈し,別の染色体が挿入されたようにみえる「かぶり現象」に注意しなければならない.[谷脇雅史]
■文献
阿部達生編著:造血器腫瘍アトラス,第3版,日本医事新報社,東京,2000.古庄敏行監修・編:臨床染色体診断法,金原出版,東京,1996.
谷脇雅史編著:血液腫瘍−MIC-M分類から治療まで.先端医学社,東京,2005.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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