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「IMF融資制度」の意味・わかりやすい解説
IMF融資制度【アイエムエフゆうしせいど】
IMF(国際通貨基金)加盟国の国際収支が悪化したり,外貨が不足した際にIMFから受ける融資制度。借入国はIMFと協議の上経済安定化プランを実行することを求められる。本来は短期的な融資が中心であったが,1970年代の2度にわたる石油危機以後は中長期融資も行われるようになった。短期的な国際収支悪化に対処するため加盟国が利用できる借款は,IMFの引出権により無条件に引き出せるリザーブ・トランシュ(加盟国が払い込んだ出資金を自動的,無条件で引き出せる外貨部分)とクレジット・トランシュ(加盟国がリザーブ・トランシュ以外に引き出せる部分)の2種類がある。中長期の借款としては,石油備蓄対策や国際収支悪化に陥った途上国向けの拡大信用供与などがある。また旧ソ連・東欧各国のIMF加盟後,これらの国に対する借款問題が大きな課題となり,1993年4月に東京で開催した対ロシア支援のための先進7ヵ国蔵相・外相会議で〈体制移行融資制度〉が新設された。1996年にはメキシコ通貨危機を教訓に〈緊急融資制度〉が新設され,国際金融システムの安定化を図るための融資制度とした。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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