日本大百科全書(ニッポニカ) 「SN曲線」の意味・わかりやすい解説
SN曲線
えすえぬきょくせん
機械材料に加わる外力の繰り返し数と、それに耐える応力の上限値との関係を示す曲線。機械や構造物には時間的に変動する荷重が加わることが多く、そのときに生ずる最大応力が材料の最大強さや弾性限度以下であっても、繰り返し回数が多くなるとついに破壊することがある。この現象を材料の疲労といい、材料の疲労に対する強度を示すものとしてSN曲線がある。SN曲線は、いくつかの異なった応力で破壊するまで繰り返し試験を行い、N回の繰り返し数に耐える応力振幅S(時間強度という)を縦軸に、繰り返し回数Nの対数を横軸にする。大気中での鋼の疲労試験では、107回の繰り返し数に耐えた場合は、それ以上続けても破壊することがほとんどない。したがってSN曲線の水平部は、無限回の繰り返しを行っても破壊しない応力の上限値を与えているとみなせる。この応力を疲労限度という。ところが、非鉄金属に対するSN曲線では108回でも水平部が現れないものが多い。疲労試験では同一材料、同一条件で行っても、試験結果にばらつきが多いので、疲労破壊確率pを導入して、pSN曲線が使われることがある。
[林 邦夫]