T型フォード(読み)ティーがたフォード(英語表記)Model T

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「T型フォード」の意味・わかりやすい解説

T型フォード
ティーがたフォード
Model T

アメリカ合衆国フォード・モーターが 1908~27年に生産した自動車。ヘンリーフォードが,実用的で手頃な価格の大衆車として開発した。低価格,頑丈さ,使い勝手のよさ,整備の容易性などから,またたく間に好評を博し,1500万台以上が生産された。流れ作業方式の導入により,標準的な 2ドアセダンの価格は 1908年の 850ドルが,1925年には 300ドル以下になった。このような低価格を強みとして,一時,アメリカ国内自動車販売シェアの 40%を占めるにいたった。T型フォードには 2人乗り,5人乗り,7人乗りなどがあったが,種類を問わず全ボディに軸距 100インチ(約 2m50cm)の共通シャシを用いていた。ボディの色は,当初は複数用意されていたが,1913~25年には黒 1色の大量生産となった。エンジンは簡素で効率的な 4気筒エンジンを採用,出力 20馬力で最高時速は 65~70kmに達した。大部分のモデルは手動クランクでエンジンを始動させたが,1920年以降の一部モデルには電動式始動装置(スタータ)が装備された。変速機前進 2段,後進 1段で,フットペダルで操作。点火スロットル調整は,ステアリングコラム脇のレバーを手で操作して行なった。前席下に 10ガロン(約 38l)の燃料タンクが配置された。(→フォード・システム

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