化学辞典 第2版 「HAT培地」の解説
HAT(ハット)培地
ハットバイチ
HAT medium
ヒポキサンチン(H),アミノプテリン(A),チミジン(T)を含む細胞培養液.以下のような原理にもとづき,モノクローナル抗体産生細胞の選択などに用いられる.細胞が分裂するにはDNAの複製が必要である.このためのDNA合成経路には,消化産物を再利用するサルベージ経路と,最初からつくり上げるデノボ経路とがある.たとえば,モノクローナル抗体の生産に利用されるミエローマ細胞では,サルベージ経路が欠損しているので,デノボ経路に頼って生きている.これにアミノプテリンを添加してデノボ経路を遮断すると死滅する.しかし,サルベージ経路が正常なほかの細胞と融合させ,ハイブリドーマにすると,レスキューされ生きのびる.ヒポキサンチンとチミジンは,サルベージ経路の原料として利用される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報