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複製 ふくせいcopy

翻訳|copy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

複製
ふくせい
copy

絵画作品の模写彫刻作品や工芸品などの模刻または模造をいう。古代ギリシアのヘレニズム時代から古代ローマ時代にかけて古典的彫刻を模範とする複製が作られ,特にハドリアヌス帝の時代にはギリシア時代のほとんどの作品が模刻され,職業的な複製業が成立した。ルネサンス時代にはその時代の有名な美術家の作品が複製されたが,バロック時代になると複製ないし模写は美術アカデミーの美術教育のうえで重要な役割を果した。複製は原作を原作者以外の人が同じような技術的手段で再製するものであり,原作と大きさや素材が異なっても容認されるが,細部や比率は正確であることが肝要である。最近では高度の印刷技術によって絵画作品などはきわめて正確に複製されるようになった。

複製
ふくせい
replication

分子生物学の用語としては,遺伝子である1本のデオキシリボ核酸 DNA二重螺旋から,同じ塩基配列をもつ DNA二重螺旋が2本つくられることをいう。複製は,簡略に記せば DNA→DNAと書くことができて,DNA→メッセンジャー RNA(mRNA)を「転写」といい,mRNA→蛋白質という情報伝達を「翻訳」というのと対比して用いられる概念である。複製の仕組みは,二重螺旋がほどけて,1本ずつのに並んでそれぞれ相補的な鎖が合成されることによる。

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デジタル大辞泉の解説

ふく‐せい【複製】

[名](スル)
もとの物と同じ物を別に作ること。また、そのもの。「鍵を複製する」
美術品・著作物などの原作品とそっくり同じ物を制作すること。また、そのもの。「名画を複製する」
(「覆製」とも書く)写本・刊本などを原形のままの形に作ること。翻刻に対していう。「複製本」

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世界大百科事典 第2版の解説

ふくせい【複製】

一般に,元のもの(オリジナル)を模して,限りなくその原形に近いと意識される相似物をつくりだすことをいい,また,そのつくりだされた相似物そのものも同じ言葉で呼ばれる。そして多くの場合に,その再製されるものはいわゆる〈著作物〉であり,絵画,彫刻などの美術品をはじめとして,文芸,学術,音楽などの広い範囲のものが含まれる。 〈複製〉という日本語は,近代以降に広く通用するようになった新しい言葉であり,英語のコピーcopy(またおそらくはリプロダクションreproductionなど)の翻訳語として用いられ始めたものと考えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

複製
ふくせい

もとのものと同様なものを製作すること、またその製作されたもの。法律においては、印刷、写真、録音、録画などの方法によって著作物を形のあるものにそのまま再製するすべての行為をさし、複製権は著作権から派生する諸権利中もっとも基本的かつ重要な権利になっている。
 芸術作品や美術作品においては、模写、模造、模刻など、オリジナルoriginal(原作)を別人が同様の技術手段によって再製する手仕事的なコピーcopyが古くから行われていた。このコピーは、ギリシア彫刻のローマ時代模刻のように、原作が失われている場合、それ自身学術的にも芸術的にも価値があるし、高松塚古墳壁画の模写のように、実物の鑑賞が不可能な場合、伝達にとっての不可欠な手段でもある。一方、木版、銅版、石版などの印刷技術の発明は、とくに平面的な絵画のリプロダクションreproductionの盛行を促した。ともに複製とよばれるが、一点もののコピーと量産的なリプロダクションは区別される必要がある。
 また、彫刻、建造物、記念碑、機械、道具など、立体的なものの複製はレプリカreplicaとよばれる。
 映画の発明を含む写真技術の発達、さらに音の複製(レコード)の発明によって、リプロダクションによる複製芸術の占める地歩は、20世紀の芸術のなかで、各種の芸術方法と並んで独自のものとなった。加えて1990年代に登場したデジタルによる高度な技術機器の発展と普及により、印刷、音響、映像などを個人で複製することが容易になったことから複製権の問題はきわめて複雑化している。[畑 暉男]
『ベンヤミン・ヴァルター著、佐々木基一編・解説『複製技術時代の芸術』(1999・晶文社)』

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図書館情報学用語辞典の解説

複製

図書や雑誌録音テープコンパクトディスクなどの記録資料を,原形のままに模して再製すること.また,再製されたもの.再製の対象としては,資料の物理的形態よりも資料の内容が重視される.したがって,図書や雑誌の場合,紙質装丁も同一に再製する場合もあるが,素材は異なっていても版面部分が原物と同様に再製されていれば,通常は複製と呼んでいる.

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世界大百科事典内の複製の言及

【肖像写真】より

…ルネサンス時代に始まるステータス・シンボルとしての〈肖像〉が,一部王侯貴族のものであったのに対し,写真の出現はそれを一挙に,だれもが手軽にもつことができるものにしてしまった。だがそればかりではなく,写真がもつ対象の忠実な複製能力は,写された者に自分自身のリアルな姿を直視させることにもなり,それはステータス・シンボルとしての〈肖像〉とは異なった社会的な意味をもたらすものであった。つまり肖像写真によって普及した〈肖像〉は,写された人物が獲得した社会的なアイデンティティ(地位が高い等)よりも,その人自身が生まれながらにもつ個人的なアイデンティティをつねに指し示すものとして機能することとなるのである。…

【模写】より

… 彫刻は,もともと〈削る〉という文字が〈似すがた〉を写す意味をもつように,対象の形姿を忠実に再現することを第一義としたが,このことは肖像彫刻においてもっとも顕著に示されている。したがって彫造の模刻・模造は,絵画以上に原本に忠実で,工芸品の複製に近い。【衛藤 駿】
[西洋]
 西洋においても模写の目的は種々あり,その目的に応じて意味も異なる。…

※「複製」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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