M-Vロケット(読み)ミューファイブロケット

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「M-Vロケット」の意味・わかりやすい解説

M-Vロケット
ミューファイブロケット

宇宙科学研究所が開発した世界最大級の 3段式固体燃料ロケット地球低軌道 LEOに 1.8tの打ち上げ能力をもつ。全長約 31m,直径約 2.5m,重量約 140t。科学衛星打ち上げ用に開発されたミュー・ロケットシリーズの技術を駆使して各段の大型化と機体構成の簡素化をはかり,1990年に開発が始まり,1997年から運用が開始された。1997年2月12日に打ち上げた電波天文観測衛星『はるか』を皮切りに,日本初の火星探査機『のぞみ』,小惑星探査機はやぶさ』など合計 7回の打ち上げを行ない,四つの天文観測衛星と二つの惑星探査機を軌道に乗せることに成功した。2006年の太陽観測衛星ひので』の打ち上げを最後に廃止され,新型固体燃料ロケットイプシロンに引き継がれた。

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知恵蔵 「M-Vロケット」の解説

M‐Vロケット

1997年に電波天文衛星はるかの打ち上げでデビューした、日本の全段固体燃料の3段式衛星打ち上げ用ロケット。全長31m、直径2.5m、全備重量139tで、地球低軌道に約2tの衛星を運ぶことができる。98年7月の日本初の火星探査機のぞみ、2003年5月のはやぶさ、05年7月のすざく、06年2月のあかり(アストロF)に続き、ソーラーB(太陽観測衛星、06年度)の打ち上げに備えている。M‐Vロケットは、固体燃料の衛星打ち上げシステムでは世界最大。

(的川泰宣 宇宙航空研究開発機構宇宙教育センター長 / 2007年)

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