改訂新版 世界大百科事典 「OD調査」の意味・わかりやすい解説
OD調査 (オーディーちょうさ)
O and D survey
人や車あるいは物資の移動の起点originと終点destinationを,移動の目的,交通手段などとともに把握するために実施する調査で,起終点調査origin and destination surveyとも呼ばれる。調査結果は現在の交通の量的・質的な分析に用いられるほか,将来の交通需要を予測するための基礎資料としても利用され,交通計画を策定するためのきわめて重要なデータとなる。歴史的には1915年にニューヨークで実施されたものが最初で,日本では52年に東京都で初めて実施された。調査の種類は自動車を対象とした自動車OD調査,人を対象としたパーソントリップ調査,貨物を対象とした物資流動調査の3種類に大別でき,日本では主として運輸省,建設省,各地方自治体などにより実施されている。実際の調査では,抽出された対象者を調査員が訪問して聞取り調査を行う方法(訪問調査)がおもに用いられ,補完的な調査として,調査対象圏域内外への出入りを調査するコードンライン調査や調査精度を検定するためのスクリーンライン調査などがある。
執筆者:天野 光三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報