p,p′-ジクロロジフェニルトリクロロエタン(読み)ジクロロジフェニルトリクロロエタン

化学辞典 第2版 の解説

p,p′-ジクロロジフェニルトリクロロエタン
ジクロロジフェニルトリクロロエタン
p,p′-dichlorodiphenyltrichloroethane

1,1,1-trichloro-2,2-bis(4-chlorophenyl)ethane.C14H9Cl5(354.48).略称DDT.接触性の殺虫剤の一つ.クロロベンゼン2分子とクロラールとを硫酸の存在下に脱水縮合させてつくられるが,工業製品には,p,p′-ジクロロジフェニルトリクロロエタン(65~80%)のほかに,o,p′-ジクロロジフェニルトリクロロエタン(15~20%)などが含まれている.p,p′-ジクロロジフェニルトリクロロエタンは融点109~110 ℃ の結晶で,水に難溶,多くの有機溶媒に可溶.酸に安定であるが,アルカリにより脱塩化水素される.昆虫に対しては神経毒としてはたらき,イエバエなどに効果があるがアブラ虫やダニにはきかない.温血動物に対する毒性は少ないが難分解性であり,現在は使用が禁止されている.LD50 200 mg/kg(ラット経口).[CAS 50-29-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android