アルカリ(読み)あるかり(その他表記)alkali

翻訳|alkali

デジタル大辞泉 「アルカリ」の意味・読み・例文・類語

アルカリ(alkali)

《もとアラビア語で、海の草の灰の意》水に溶けて塩基性を示す物質総称。ふつう、アルカリ金属アルカリ土類金属水酸化物をいう。
[類語]塩基ソーダ石灰苛性ソーダ重曹炭酸ナトリウム水酸化ナトリウムえん

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精選版 日本国語大辞典 「アルカリ」の意味・読み・例文・類語

アルカリ

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語・英語] alkali 元来はアラビア語で、al は定冠詞、kali は「灰」の意。「亜爾加里」「亜児加里」とも書いた ) 水酸化物 MOH (Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム基など)の形式をとり、強い塩基性を示して水に溶解する物質の総称。一般には水酸化ナトリウム水酸化カリウムを意味する。塩基と同義語にも用いる。〔植学啓原(1833)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルカリ」の意味・わかりやすい解説

アルカリ
あるかり
alkali

水酸化物の形式の化合物で、水に溶解する物質の総称。きわめて古い時代、アラビア人は植物の灰(陸の植物では主成分が炭酸カリウム、海の植物では主成分が炭酸ナトリウム)をアルカリとよんでいた。alは冠詞で、kaliは灰の意である。これがその後に一般化され、灰から抽出した物質、およびそれに似た性質、すなわち強い塩基性を示すものをすべてアルカリとよぶようになった。現在では主としてアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物で水に溶けるものをさすことが多い。さらに広い意味で、これらのほかにナトリウムやカリウム炭酸塩リン酸塩アンモニアアミンなどを含めていうこともある。水酸化ナトリウム(カ性ソーダ)NaOH、水酸化カリウム(カ性カリ)KOH、炭酸ナトリウム(洗濯ソーダ)Na2CO3・10H2Oなどがその例である。

[中原勝儼]

アルカリ性とアルカリ性反応

アルカリのもつ性質をアルカリ性という。水溶液が灰汁(あく)のような味をもち、せっけん水のように油脂類を洗浄し、赤色リトマスを青色に変え、水素イオン濃度(pH)7以上で酸を中和する。この語はもともと水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの強い塩基の性質を示すことばとして用いられてきたが、現在ではさらに広くなって塩基性と同じ意味で用いられている。アルカリ性をもつものの示す反応をアルカリ性反応ということがある。たとえば、色素の色を変えたり、水溶液中から不溶性の金属水酸化物を沈殿させたりするなどがその例である。

 また一般にアルカリ性を示すものを、分類名として「アルカリ――」とよぶことがある(たとえばアルカリ性を示す鉱泉をアルカリ性泉という)が、かならずしもそうではない場合もある。たとえばアルカリ性食品というときは、食品自体がアルカリ性を示すのではなく、その成分のうちの無機質の組成がアルカリ性、すなわちナトリウム、カリウム、カルシウムなど水酸化物となってアルカリ性を示す成分が、塩素、リン、硫黄など酸性をなす成分に比べてモル比で多いような食品をいう。このときのアルカリ性の程度をアルカリ度といい、アルカリ度の高いものをアルカリ性食品、その逆を酸性食品といっている。

[中原勝儼]

『岡部泰二郎著『無機プロセス化学』(1993・丸善)』『高本進・稲本直樹・中原勝儼・山崎昶編『化合物の辞典』(1997/普及版・2010・朝倉書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「アルカリ」の意味・わかりやすい解説

アルカリ
alkali

水酸化物で水に溶解する物質の総称。古くは陸および海の植物の灰(主成分はそれぞれ炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウム)に対する総称(kaliはアラビア語の灰に由来する)で,のちに灰の浸出液のように強い塩基性を示す物質(陸上植物の灰の主成分は炭酸カリウム,海中植物では主成分炭酸ナトリウム)の一般的名称となった。現在では主としてアルカリ金属の水酸化物およびアンモニア,カルシウムやバリウムの水酸化物などをさすが,そのほか炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,リン酸ナトリウムなど,水に溶けてアルカリ性を示すものにも広く用いられている。〈塩基〉の同義語としても用いられる。

アルカリのもつ性質のこと。水溶液が灰汁(あく)のような味をもち,セッケン水のような洗浄作用があり,有機色素などの指示薬の色を変え(たとえば赤色リトマスを青色に変える),水素イオン濃度pHが7以上であって,酸を中和する,などという性質。本来は水酸化カリウム,水酸化ナトリウムなどの強い塩基の性質を示す語であったが,現在では塩基性と同じ意味に用いられている。
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百科事典マイペディア 「アルカリ」の意味・わかりやすい解説

アルカリ

水に溶けて強い塩基性を示す物質。アラビア語kali(灰の意)が語源。主としてアルカリ金属,アルカリ土類金属の水酸化物で水に可溶性のものをいい,さらにナトリウム,カリウムなどの炭酸塩,リン酸塩,アンモニア,アミンなどを含めることもある。水酸化ナトリウムNaOH,炭酸ナトリウムNa2CO3などが代表的な例。水溶液は灰汁(あく)のような味をもつことが多く,セッケン水のように油脂類を洗浄し,酸を中和する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルカリ」の意味・わかりやすい解説

アルカリ
alkali

一般には,その水溶液が強い塩基性を示す化合物のことをいう。たとえばアルカリ金属,アルカリ土類金属の水酸化物 (水酸化カリウム,水酸化ナトリウム,水酸化カルシウムなど) ,アルカリ金属の炭酸塩 (炭酸カリウム,炭酸ナトリウムなど) ,アンモニアなどがある。これらの水溶液はpHが室温で7以上で,リトマスを青変する。

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化学辞典 第2版 「アルカリ」の解説

アルカリ
アルカリ
alkali

水溶液が塩基性を示す物質の総称.普通は,アルカリ金属とアルカリ土類金属の水酸化物をいう.しかし,ときにはアルカリ金属の炭酸塩,アンモニアなどを含めることもある.語源はアラビア語のal“定冠詞”,qali“木や海草の灰”で,灰に含まれるK2CO3やNa2CO3の性質に由来している.

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栄養・生化学辞典 「アルカリ」の解説

アルカリ

 水に溶解してOHを生じる物質の総称.例:NH3+H2O&rlarrows;NH4+OH,NaOH&rlarrows;Na+OH

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岩石学辞典 「アルカリ」の解説

アルカリ

化学的にはアルカリ,塩基性物質のことであるが,地球科学の関係では塩の表面風化物の記載に一般的に用いられる語で,塩は地表または直下の地下水の蒸発によって濃集する[Twenhofel : 1932, 1950].

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世界大百科事典(旧版)内のアルカリの言及

【あく(灰汁)】より

…陸の植物からとった〈あく〉には主として炭酸カリウムが含まれており,海の植物には主として炭酸ナトリウムが含まれている。最も古くから知られているアルカリであり,アルカリという語も,アラビア語のal‐qalī(灰)に由来しているとされている。 調理上では,植物性食品に含まれ,えぐみ,しぶみ,にがみなどの原因となるアルカリ塩,アルカロイドその他の成分を〈あく〉といい,これらをゆでこぼしたり,前述のあく,炭酸カリウム,炭酸ナトリウムなどで除くことを〈あく抜き〉といっている。…

※「アルカリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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