Pepper(読み)ぺっぱー(その他表記)Pepper

知恵蔵 「Pepper」の解説

Pepper

人間の感情を認識する、世界初の一般家庭向け人型ロボット。初回生産分の300台は、Pepperを制御するアプリケーションなどの製作を手がける開発者を対象に、2015年2月27日に販売され、約1分で完売した。一般家庭向けの販売は、15年夏ごろの予定。Pepperの開発とサービス提供は、主にソフトバンクグループソフトバンクロボティクス社が手がける。同社は、同じくソフトバンクグループのソフトバンクモバイル社からロボット事業を譲り受け、14年7月に設立された。
Pepperのサイズは、高さ1210ミリ、幅485ミリ、奥行425ミリで、重量は28キログラム。頭に四つのマイクと二つのカメラ、全身に数種類のセンサーを備える他、胸に10.1インチのタッチディスプレーを搭載する。通信方式は、無線通信であるIEEE 802.11 a/b/g/n規格のWi-Fiと、有線通信の10/100/1000 base Tイーサネットポートの2種類が利用可能。
Pepperは、人との触れ合いの中で、自律的に反応しながら動く。家庭では、Pepperに絵本の読み聞かせをさせたり、家族への伝言を預けたりすることができる。また、スマートフォンアプリの連携も可能なため、例えば、スマートフォンアプリから送信されたメッセージをPepperに読ませたり、送信された写真をPepperの胸にあるディスプレーに表示させたりすることもできる。またPepperは、常時インターネットに接続されているため、最新のニュースや天気などを知らせたり、会話データベースとの連携によって、幅広い話題に答えたりすることも可能だ。
Pepperには、人の表情や声から、その人の感情を察する「感情認識機能」が備わっている。感情認識は完璧ではないが、家庭の中で、家族を励ましたり、一緒に喜んだりすることができるロボットを目指しているという。更に、Pepperの各機能を組み合わせた動作プログラムである「ロボアプリ」を新たにダウンロードすれば、Pepperの機能を増やすことも可能。一般向けの開発環境も用意されている。
家庭内での利用では、小さな子どもとの接触も想定されるが、Pepperのボディーは、安全第一に考えられており、人や障害物との衝突を防止する「衝突防止」機能や、簡単に倒れないようにバランスを維持する「オートバランス」機能などを搭載している。
なお、Pepperの本体価格は19万8000円(税別)だが、前述のロボアプリや会話データベースを利用するには、月々1万4800円で36カ月契約の基本プランへの加入が必要となる。

(横田一輝 ICTディレクター/2015年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「Pepper」の意味・わかりやすい解説

Pepper
ぺっぱー

ソフトバンクが2014年(平成26)に発表した人間型ロボットの名称。フランスのアルデバランロボティクス社Aldebaran Robotics(現、ソフトバンクロボティクス)が開発したナオというロボットが元になっている。ソフトバンクがアルデバラン社を買収してナオを改良した形で発表したのがペッパーである。二足ではなくタイヤで歩行し、人間とのコミュニケーションを行うことをおもな目的としている。かなり高度な機能をもったコミュニケーションロボットがそう高くない値段(数十万円)で購入できることが大きな話題となった。工学博士、数理研究者の光吉俊二(みつよししゅんじ)(1965― )の開発した感情モデルを搭載しており、人間の感情を(ある程度)理解することができ、またペッパー自体の感情を(ある程度)表すことができる。

[松原 仁 2020年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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