SN曲線(読み)えすえぬきょくせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「SN曲線」の意味・わかりやすい解説

SN曲線
えすえぬきょくせん

機械材料に加わる外力の繰り返し数と、それに耐える応力の上限値との関係を示す曲線。機械や構造物には時間的に変動する荷重が加わることが多く、そのときに生ずる最大応力が材料の最大強さや弾性限度以下であっても、繰り返し回数が多くなるとついに破壊することがある。この現象を材料の疲労といい、材料の疲労に対する強度を示すものとしてSN曲線がある。SN曲線は、いくつかの異なった応力で破壊するまで繰り返し試験を行い、N回の繰り返し数に耐える応力振幅S(時間強度という)を縦軸に、繰り返し回数Nの対数を横軸にする。大気中での鋼の疲労試験では、107回の繰り返し数に耐えた場合は、それ以上続けても破壊することがほとんどない。したがってSN曲線の水平部は、無限回の繰り返しを行っても破壊しない応力の上限値を与えているとみなせる。この応力を疲労限度という。ところが、非鉄金属に対するSN曲線では108回でも水平部が現れないものが多い。疲労試験では同一材料、同一条件で行っても、試験結果にばらつきが多いので、疲労破壊確率pを導入して、pSN曲線が使われることがある。

[林 邦夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のSN曲線の言及

【船体強度】より

…前者には甲板の倉口や桁材の腹板における人孔,縦通材貫通部などの板の開口部における応力集中,さらに局部的には肋骨,防撓(ぼうとう)材などの溶接部における応力集中が含まれる。いずれも実験,あるいは有限要素法で算定された応力,あるいはひずみの振幅を船体構造材料のSN曲線(繰返し応力の大きさと,その応力のもとで疲労破壊が生ずる繰返し数との関係を示す曲線)にあてはめて疲労寿命を推定し,必要に応じて曲り部半径の増大,増厚,溶接仕上げの実施などによる応力集中の緩和策がとられる。一方,座屈に関しては,トランスリングの隅角部,部材結合部,腹板の開口部などにおける座屈強度が検討され,座屈防止のための増厚,防撓材配置などの対策がとられる。…

【疲労】より

… 疲労試験(疲れ試験ともいう)は,平滑な,すなわち切欠きのない試験片を用いて疲労限度を求めるものと,切欠きのある試験片を用いて亀裂進展挙動を計測するものとに分類できる。平滑な試験片を用いて,最大応力と最小応力との差(応力幅)をいろいろな値に変えて疲労試験を行ったとき,応力幅σaと,破壊に至る繰返し数Nとの関係をSN曲線(ウェーラー曲線)と呼ぶ。その例を図に示すが,N=106~107で曲線が折れ曲がっている。…

※「SN曲線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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