東洋画の筆法の一つで、墨を継がずに一筆で描く絵のこと。唐の張彦遠(ちょうげんえん)の『歴代名画記』によると、後漢(ごかん)の張芝(ちょうし)は草書を学び、それに基づいて変化を加え、その書の体勢は、気脈がつながり、行が変わっても一筆で書き、断(き)れていないので、世間で一筆書と称したといわれる。その後、劉宋(りゅうそう)(六朝(りくちょう)時代)の陸探微(りくたんび)は書と画と共通した点を取り入れ一筆画を創造した。その絵は連綿として切れ目がなく、滑らかな美しさをもち、同時代に斬新(ざんしん)なものとして評価を得た。この一筆画がいつごろ日本にもたらされたか不明であるが、正倉院に伝わる絵紙(えがみ)に飛白体(ひはくたい)をもって霊獣、燕(つばめ)、雲などを描いたものがもっとも古い。近世になって禅僧や文人画家の間で、筆にたっぷりと墨を含ませ、一気に人物などを描くことが行われ、これを一筆画とよぶようになった。
[永井信一]
…唐の張彦遠《歴代名画記》では〈画の六法全部を備えた画家はごくまれだが,陸探微,衛協だけは完全である〉と評されている。その線描は刀や錐のように鋭利で連綿と続き〈一筆画〉の名称がある。【古原 宏伸】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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