草書(読み)ソウショ

デジタル大辞泉 「草書」の意味・読み・例文・類語

そう‐しょ〔サウ‐〕【草書】

書体の一。古くは、篆隷てんれいを簡略にしたもの。後代には、行書ぎょうしょをさらに崩して点画を略し、曲線を多くしたもの。そう。そうがき。
[類語]楷書行書隷書篆書行草三体五体勘亭流

そう‐がき〔サウ‐〕【草書(き)】

そうしょ(草書)

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精選版 日本国語大辞典 「草書」の意味・読み・例文・類語

そう‐しょサウ‥【草書】

  1. 〘 名詞 〙 ( 近世は「そうじょ」とも )
  2. 書体の一つ。篆隷(てんれい)を簡略にしたもの。楷・行・草と三段階あるうちでもっとも崩したもの。後漢時代からおこった。そうがき。そう。
    1. [初出の実例]「搨晉右将軍王羲之草書巻第一」(出典:正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳)
    2. 「羲之が草書の偈」(出典:太平記(14C後)三七)
    3. [その他の文献]〔書断‐草書〕
  3. 手紙文書
    1. [初出の実例]「如常出仕申候、従泉歳暮之御祝言、村上出羽守にて御申候、并草書参候、御老中へも別而草書被遣候」(出典上井覚兼日記‐天正二年(1574)一二月二七日)

そう‐がきサウ‥【草書】

  1. 〘 名詞 〙そうしょ(草書)
    1. [初出の実例]「召されては宿直(とのゐ)やつれの手もたゆく草書(サウガキ)したり暮れゆく春を」(出典:舞姫(1906)〈与謝野晶子〉)

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普及版 字通 「草書」の読み・字形・画数・意味

【草書】そう(さう)しよ

書法の一。くずしがき。漢・趙壱〔非草書〕夫(そ)れ書の興るは、其れ古に于(お)けるか。~蓋(けだ)し秦の末、刑峻密、官書煩冗、戰攻竝び作(おこ)る。軍書(こもごも)馳せ、檄(うげき)飛す。故に隷(れいさう)を爲(つく)る。に趣(おもむ)けるのみ。

字通「草」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「草書」の意味・わかりやすい解説

草書【そうしょ】

漢字書体の一つで,曲線が多く,流動性に富む最も自由な書体。中国,秦末・漢初のころ,文章の草稿などを簡便に書く必要から自然に生まれたもので,後漢になると独自の芸術的な美しさを備えるに至った。初めは単体の章草(独草体)であったが,やがて連綿を加える今草へと発展。
→関連項目王羲之王献之懐素行書祝允明草仮名孫過庭張旭日観楊凝式林良

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「草書」の意味・わかりやすい解説

草書
そうしょ

漢字の書体の一種。もっとも簡略化の進んだ書体。楷書(かいしょ)が崩れて行書となり、行書がさらに崩れて草書ができたと考えられがちであるが、事実は異なり、後漢(ごかん)の紀元後100年に完成した許慎(きょしん)著『説文解字(せつもんかいじ)』の序文に「漢興(おこ)って草書あり」と記されているように、前漢時代(前202~後9)に正式書体である隷書(れいしょ)と併行して、草書が日常早書きの書体として使用されていた。これは文献上だけでなく、西域(せいいき)地方から発掘された竹簡木簡遺品でも実証されている。また、草書のなかには明らかに篆書(てんしょ)からつくられたと考えられるものもある。草書の形や筆勢にくふうが加えられ、洗練されて芸術的な美しい姿に発展したのは、晋(しん)代から南北朝時代にかけてのことであった。唐代には「狂草(きょうそう)」という奔放な草書を書いた張旭(ちょうきょく)や懐素(かいそ)が現れ、明(みん)代末期には王鐸(おうたく)や傅山(ふざん)などが多数の草書を続け書きする「連綿草(れんめんそう)」をよくした。

[筒井茂徳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「草書」の意味・わかりやすい解説

草書
そうしょ

漢字の書体の一種。篆書隷書を簡略化し,くずしたもの。初め草稿 (下書き) から発達し,漢代には書体の一つとして認められていた。初めは1字ずつ離して書く独草体だったが,次第に連綿体へと移行していった。書道の面では,王羲之をはじめとする晋代の名家たちによって芸術として完成されたといえる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「草書」の解説

草書
そうしょ

漢字の書体の1つ
秦末期に隷書 (れいしよ) を簡単にして作られた文字で,行書 (ぎようしよ) をさらにくずし,点画を略した字体である。

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世界大百科事典(旧版)内の草書の言及

【漢字】より

…楷書に至って漢字の字体は固定化され,今日に及んでいる。いっぽう楷書が隷書から発展する以前から,篆書や隷書をくずした,より簡略化された草書が用いられた。いわば漢字のデモティック・スタイルdemotic styleである。…

【書体】より

… 六朝時代にはこの意匠化した文字がはなはだ流行した。劉宋の王愔(おういん)《古今文字志目》は古書体36種として,古文篆,大篆,小篆,隷書,象形篆,科斗,殳書,繆書,鳥書,尚方大篆,鳳書,魚書,竜書,麒麟書,亀書,蛇書,仙人書,雲書,芝英書,金錯書,十二時書,懸針書,垂露書,倒薤書,偃波書,蚊脚書,草書,行書,楷書,藁書,塡書,飛白書などをあげている。このうち大篆,小篆,隷書,草書,行書,楷書,藁書などは小篆系の現在も通行の書体であり,他のものは篆隷を自然に存在するものに寓して意匠化した特殊書体で雑体と呼ばれる。…

※「草書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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