デジタル大辞泉
「一筆」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いっ‐ぴつ【一筆】
- 〘 名詞 〙
- ① 一本の筆。〔呉融‐和座主尚書登布善寺楼詩〕
- ② 途中で墨継ぎをしないで、文字を続けて書くこと。一筆がき。
- ③ 同じ筆跡。また、一人で最初から終わりまで書くこと。
- [初出の実例]「そのさだのぶのきみは一切経を一筆にかきたまへる」(出典:今鏡(1170)五)
- ④ 一通の書面。一通の書状。
- [初出の実例]「グヮンジョ ヲ yppit(イッピツ) カイテ ササギョウ ト ヲモウ ガ」(出典:天草本平家(1592)三)
- 「そなたとわれとにあの仁から一筆とって置ならば」(出典:浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)上)
- ⑤ ( 筆をとって書いて申し上げる、また、要用だけを一筆しるすの意 ) 書状の初めに書くことば。→一筆啓上。
- [初出の実例]「一筆申入候。過日御約束致置候中川漁船行の義は」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉五)
- ⑥ 一つの語。一つの句。短い文章。〔新唐書‐鐘傅伝〕
- ⑦ ( 検地帳には、一場所ずつ、その田畑の所在、石高(こくだか)、面積、所有者などをひとくだりにしるしたところから ) 一区切りの田畑、宅地の記録。また、その土地。ひとふで。いちまい。〔地方凡例録(1794)〕
- ⑧ 不動産登記における土地区分の一単位。
ひと‐ふで【一筆】
- 〘 名詞 〙
- ① 特に書きつけること。ちょっと書きつけること。また、短い文。一通の書画。いっぴつ。
- [初出の実例]「一筆(フデ)かいて大衆の中へつかはす」(出典:高野本平家(13C前)一)
- ② 筆を休めないで書きつづけること。一息に書くこと。また、無造作に書くこと。
- [初出の実例]「只一筆に書たるに」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
- ③ ( 検地帳には、一場所ずつ、その田畑の所在、石高、面積、所有者などをひとくだりにしるしたところから ) 一区切りの田畑、宅地の記録。また、その土地。一般に土地登記上の一区画をいう。いっぴつ。
いち‐ふで【一筆】
- 〘 名詞 〙 書きはじめ。また、連名中や仲間内の第一番。筆頭。一の筆。
- [初出の実例]「櫓下看板〈略〉矢倉下三まいをよしとする。書始(イチフテ)、中、留筆なり」(出典:楽屋図会拾遺(1802)上)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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一筆
いっぴつ
土地の単位。土地登記簿のうえで一個の土地とされるもので、土地は一筆ごとに登記簿に記録され、地番がつけられる。一筆の土地を複数にする(分筆)とそれぞれが一筆の土地となり、数筆の土地を一つにまとめる(合筆(がっぴつ))と一筆の土地になる。一筆の土地には一個の所有権が成立し、それが一個の物として取引されるが、一筆の土地の一部だけを独立の所有の対象とすることも認められている。
[高橋康之・野澤正充]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「一筆」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の一筆の言及
【地籍】より
…土地の位置・形質および所有関係を明らかにする制度。土地はそれ自体としては連続的なものであるが,取引の対象とする場合には,これを区画して,それぞれの土地(その一単位を一筆(いつぴつ)という)の物理的・法的状態を明確に示しておく必要がある。そのための制度が地籍である。…
【土地】より
… 土地は連綿と続くものであるから,人為的に区画分けされる。その一区画(一筆という)を一個の土地とし,土地登記簿上一用紙が与えられ,所在地,地番,地目,地積(面積)により個性が特定され,私的権利成立の単位とされる(不動産登記法15条,78条以下)。土地には必ずその所有者が存在する(民法239条2項〈無主ノ不動産ハ国庫ノ所有ニ属ス〉)。…
※「一筆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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