導電性繊維(読み)どうでんせいせんい(その他表記)conducting fiber

改訂新版 世界大百科事典 「導電性繊維」の意味・わかりやすい解説

導電性繊維 (どうでんせいせんい)
conducting fiber

繊維を形成する高分子化合物はふつう絶縁体であるが,とくに導電性をもたせた繊維を導電性繊維という。石油化学工場における静電気による火災の防止,あるいは医薬品工業,精密電子工業におけるほこりの付着放電の防止のために,優れた制電性を有する被服材料が要求されるようになってきた。現在開発されている導電性繊維には,(1)合成繊維の中に導電性のよい金属黒鉛を均一に分散させたもの,(2)ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維,(3)有機物繊維の表面を金属で被覆したもの,(4)有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆したもの,などがある。(1)の導電性カーボン含有繊維が主流を占めているが,この繊維は繊維自体が黒色または灰色化するので,外観を重視する分野には向かない。また複合繊維にしてカーボンを目だたなくするくふうや,白色導電性金属酸化物を高分子に混入した繊維が現れつつある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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