金属繊維(読み)きんぞくせんい(その他表記)metal fiber

改訂新版 世界大百科事典 「金属繊維」の意味・わかりやすい解説

金属繊維 (きんぞくせんい)
metal fiber

金属を細く繊維状にしたもの。繊維と呼ばれるものの範囲ははっきりしないが,直径10μm以下のものから200μm前後のものまである。タングステンモリブデンベリリウムステンレス鋼,その他かなり多数の金属の繊維が作られている。製造法には,ダイスを通して引き抜いて細くする,さらにそれを電解で細くする,金属を溶かしておいて回転板上に噴出し遠心力で繊維状にしたり,ノズルから射出するとか,ガラス管内に入れて加熱しガラスといっしょに引き伸ばす,などがある。細くすると一般に強くなることを利用して,繊維強化複合材料の強化繊維とされる。導電性のないふつうの繊維にまぜて糸を作り,織物として導電性をもたせて静電気の帯電をきらう用途に使用する。また,電子素子の内部で微細な導電材として使用する。なお,ホウ素などの繊維には,直径10μm程度のタングステン繊維を芯線として,その上にホウ素を析出して作られるものがある。ウィスカーwhiskerあるいはホイスカーと呼ばれるものは直径数μm以下の針状あるいはひげ状結晶のものをいい,格子欠陥が少なくきわめて強度が高い。
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関連語 大久保

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金属繊維」の意味・わかりやすい解説

金属繊維
きんぞくせんい
metallic fibre

金属でつくる繊維。装飾用の金糸銀糸などは古くから使用されていた。現在では,複合材料の発達により繊維状材料が注目されるに及んで金属繊維製法も大きく進歩し,従来塑性加工 (圧延など) のほか,溶融紡糸法,CVD法などが開発され,ステンレスアルミニウム,鉄,ニッケル,銅などの金属糸が生産され,複合材,強化材,ろ過材や除電など特殊な部門で使用されている。

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