朝日日本歴史人物事典 「清原雪信」の解説
清原雪信
江戸前期の画家。狩野探幽の姪に当たる国と,探幽門下四天王のひとり久隅守景との間に生まれる。名は雪。母の国は探幽の妹鍋と探幽門下四天王のひとり神足常庵(守周)との間に生まれた。従って雪信と探幽の血のつながりは濃い。その関係で雪信は探幽門人の清原氏平野伊兵衛守清に嫁し,京都に住んだと伝えられるが,異説もある。絵を探幽に学び,清原雪信の名で描く。狩野派内随一の女性画家として人気が高く,遺作も多い。探幽のやまと絵系の線質に習い,女性特有のデリケートな筆触を加えたやさしい作風を示す。しかし,「花鳥図屏風」(板橋区立美術館蔵)のように,守景風の墨使いをみせる作品も近年発見され,画風を再考する必要がある。大上段に構えた本間屏風の大作では筆の荒さや構成力不足がみられるが,掛幅などの小品には優れた作品がある。着色画の優品としては院体花鳥画の質感に迫った「花鳥図」(東京国立博物館蔵)がある。
(安村敏信)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報