日本大百科全書(ニッポニカ) 「焼き鳥」の意味・わかりやすい解説
焼き鳥
やきとり
鳥類の肉を一口大に切って串(くし)に刺し、たれをかけながら焼いたもの。明治・大正のころまでは焼き鳥というと野鳥、とくに小鳥を姿のまま直火(じかび)で焼いたものの意であった。ツグミ、ウズラ、ヒワ、ハト、とくに冬には寒雀(かんすずめ)といってスズメを多く用いていた。小鳥の羽毛と腹を抜いて直火で焼く。鶏は内臓をおもに用いるが、肉も部位別に串に刺して焼く。焼き鳥は直火で焼くので、もうもうと煙を出して、煙の一部は材料に戻り、味を形成する。現在、焼き鳥と称して営業する場合は、牛や豚の内臓を材料としているものもある。焼き鳥の調味料には、しょうゆとみりんを同割にしたたれを基本にしているが、好みで塩味に仕上げるものもある。
[多田鉄之助]