ツグミ(読み)つぐみ(英語表記)thrush

翻訳|thrush

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツグミ」の意味・わかりやすい解説

ツグミ

(1) Turdus naumanni; Naumann's thrush スズメ目ツグミ科。全長 24cm。背面はくすんだ黒色で,頭部にはクリーム色の顕著な眉斑がある。喉はくすんだ白色。下面は白く,胸から脇にかけて黒斑がある。は赤褐色で尾は黒い。羽色は地域によってやや変異がある。シベリア東部で繁殖し,日本には冬鳥(→渡り鳥)として多数渡来する。農耕地,市街地など開けた場所にすみ,おもに木の実と昆虫類を食べる。
(2) thrushes スズメ目ツグミ科ツグミ属 Turdus,チャツグミ属 Catharus などの鳥の総称。約 100種からなる。ツグミ科にはジツグミ属やトラツグミ属などの鳥もいるが,一般にこれらの総称にはその属名が使われる。ツグミ類の羽色は変化に富むが,いくぶんくすんだ色調のものが多い。脚はじょうぶで比較的長く,多くのものは地上で餌をあさる。また飛翔力も強く,長距離の渡りをするものもある。世界に広く分布し,特にヨーロッパアジアアフリカに多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツグミ」の意味・わかりやすい解説

ツグミ
つぐみ / 鶫
thrush

広義には鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちのツグミ属をさし、さらに狭義にはそのうちの1種をさす。ツグミ亜科Turdinaeは、コマドリなど小形の種からトラツグミなどやや大形の種まで310種を含み、嘴(くちばし)や尾の長さと形から全体の容姿に至るまで際だった特徴がなく、標準的な小鳥の形をもっている。雌雄異色の種が多く、雄は特徴のある美しい声でさえずる。ヒタキ科のなかではもっとも地上性で、地上で昆虫など小動物を採食するが、木の実も食べる。ツグミ属Turdusは大形の約60種からなり、世界中に分布する。ミミズを好んで食べる種が多い。

 種としてのツグミT. naumanniは、この属の代表的な1種で、エニセイ川より東のアジア大陸に繁殖分布し、中国、朝鮮半島、日本などで越冬する。全長約24センチメートル。雌雄同色。上面は黒褐色で、赤褐色の斑紋(はんもん)がある。のどと眉斑(びはん)は淡黄白色。胸には黒い横帯があり、白い腹には黒い三角形の斑が散在する。日本へは、10月ごろ大きな群れで多数渡来し、山地の木の実を求めて群れで移動する。冬には群れは分解して、耕地や川原など開けた場所で単独で生活するようになる。5月に小群をつくり、渡り去る。1947年(昭和22)まで認められていたかすみ網猟は、秋にさえずるように仕立てたおとりのツグミなどを使い、毎年数百万羽のツグミを捕殺して、食用に供していた。現在は、かすみ網猟は禁止され、ツグミも狩猟鳥から除外されている。

[竹下信雄]


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