皮膚紋(読み)ひふもん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「皮膚紋」の意味・わかりやすい解説

皮膚紋
ひふもん

指,手のひら,足指,足の裏にみられる皮膚隆線がつくる紋理霊長類に広く見られるが,ヒトの皮膚紋が最も複雑である。尾で木の枝につかまる南アメリカ産のクモザル,オマキザルの類では,尾の内側にも皮膚紋がある。一般に皮膚紋のある部分は触覚が発達しており,また物を握る際などに滑り止めの働きをする。紋は胎生3~4ヵ月で形成され,その形態は一生不変である。個人識別に利用される指紋は手の指頭の掌側面にみられる皮膚紋で,形態から弓状紋蹄状紋渦状紋に大別される。掌紋は手のひらの皮膚紋で,母指の基部の母指球紋,小指の基部の小指球紋,各指のつけ根の部分の指間紋などがみられる。足指紋,足の裏の紋理も手の紋理と似た形を示す。いずれも遺伝形質であるが,遺伝様式は明らかでない。ある種の先天性異常では正常人と異なった紋理がみられることがある。

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