砂の物(読み)すなのもの

精選版 日本国語大辞典 「砂の物」の意味・読み・例文・類語

すな【砂】 の 物(もの)

※俳諧・毛吹草(1638)五「門にたつる松や其まますなのもの〈弘永〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「砂の物」の意味・読み・例文・類語

すな‐の‐もの【砂の物】

立花様式の一。横幅を広く活ける形式で、違い棚の下に活ける花の形から発展したもの。砂鉢に立て、砂・小石根元を固定する。すなもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「砂の物」の意味・わかりやすい解説

砂の物
すなのもの

いけ花の古典的様式の一つ。株立てともいい、元来、鉢に砂を入れて草木を挿したところから生まれた花の呼称。室町時代、座敷飾りのいけ花として、違い棚の下に飾られるようになって、高さに比べ横幅の広い形式をとり、一つの鉢に2株、3株、5株といけられた。しかしその技法は明らかでなく、のちに「砂の物は立花の略儀なるもの也(なり)」「一榾(ひとかぶ)・二榾」(『立華正道集』1684年初版)に示すように、立花様式のなかに取り入れられ、草の立花として扱われるようになった。一株立てのものと二株立てのものがあり、違い棚のみならず床飾りの花としても用いられた。砂の物が草体として自由闊達(かったつ)な性格を開花発展させるのは、2代池坊(いけのぼう)専好、その弟子大住院以信(だいじゅういんいしん)といった名手たちの出現によってで、1678年(延宝6)正月、本能寺開山二百年忌の際に以信は高さ2間2尺(約4.2メートル)横6間2尺(約11.4メートル)という砂の物の大立花をいけている。

[北條明直]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android