のろ(神女)(読み)のろ

百科事典マイペディア 「のろ(神女)」の意味・わかりやすい解説

のろ(神女)【のろ】

琉球祭祀をつかさどる神女で,〈のろ〉のほか〈のろくめ〉〈のるくめ〉などと記される。祝女とするのは宛字。琉球王国のもとでは聞得大君(きこえおおきみ)・君々(きみぎみ)・大阿母(おおあも)という神女組織の末端に位置づけられ,王国の地方行政の区分である間切(まぎり)にあって,〈しま〉(村)の祭を管轄していた。〈のろ〉職に就任する女性は国王から辞令書を受け,給地を与えられたが,それによれば〈たいくまのろ〉(大熊のろ)のように,しまの名を冠している事例もある。〈のろ〉職にあった家では辞令書が失われても,祭衣のハブラハギドギン,首飾の玉ハブル,太陽や鳳凰を描いた扇などの祭具が残されている。なお生涯独身を通したという伝承があるが,既婚者は少なくない。またしま全体ではなく,個人的な事情から神を拝む場合には〈ゆた〉という祈祷師があたる。〈ゆた〉も女が多いが,〈のろ〉と異なり男の例もあり,また〈のろ〉による祭祀が形骸化する現在にも〈ゆた〉の活動は続いている。宮古(みやこ)・八重山では〈のろ〉にあたる神女として〈つかさ〉(司)がいた。

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