ステロイド性抗炎症剤(読み)ステロイドせいこうえんしょうざい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステロイド性抗炎症剤」の意味・わかりやすい解説

ステロイド性抗炎症剤
ステロイドせいこうえんしょうざい

副腎皮質から分泌されている糖質コルチコイドというホルモンは,糖質の代謝調節作用,抗炎症作用,抗アレルギー作用など,多様な生体反応に関与している。これらの生理作用の中で,特に抗炎症作用に注目して開発された糖質コルチコイド製剤を指す。一般的には,副腎皮質ホルモンと呼ばれている。慢性関節リウマチ,膠 (こう) 原病,自己免疫疾患気管支喘息 (ぜんそく) などに優れた効果があり,1960年代までは「万病に効く」という触れ込みで頻用されていた。しかし,一定量以上を長期間内服していると,患者の副腎機能を抑制し,不用意な服薬中断で生命の危険もあること,感染症にかかりやすくなることなど,重篤な副作用のあることがわかった。そのため,現在では必要不可欠な場合にのみ限るという使い方になっている。しかし,いまだステロイド性抗炎症剤が唯一の治療薬という疾患も多く,投与量の調節など,慎重な患者管理の下に使用されている。

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