バラクキバチ(読み)ばらくきばち(英語表記)rose stem sawfly

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バラクキバチ」の意味・わかりやすい解説

バラクキバチ
ばらくきばち
rose stem sawfly
[学] Syrista similis

昆虫綱膜翅(まくし)目クキバチ科に属する昆虫。北海道、本州、四国、九州および中国に分布し、バラの新梢(しんしょう)を害する栽培バラの大害虫。1世代1年を要し、成虫は4月下旬から5月下旬に出現する。雌は当年の新梢に飛来し、適当な産卵場所を選定すると、産卵管で数か所に傷をつける。傷は茎の下から上に螺旋(らせん)状に巻きながら5、6か所に傷をつけて最先端部の傷口に産卵する。このように傷つけられるので梢(こずえ)の先端は枯れる。孵化(ふか)した幼虫は、萎凋(いちょう)した梢の先のほうに向かって組織を食いながら進み、三齢で先端に達し、反転して茎の基部に向かって食い進む。産卵された傷口も通過して、枯れていない茎部に進む。老熟幼虫は茎内に繭をつくり、その中で前蛹(ぜんよう)態で越冬し、翌春、蛹化して羽化する。バラの新梢にアルミ箔(はく)を巻き付けたりして産卵を防ぐ方法があるが、一般的に困難である。

[奥谷禎一]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バラクキバチ」の意味・わかりやすい解説

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世界大百科事典(旧版)内のバラクキバチの言及

【クキバチ(茎蜂)】より

…この科の昆虫は全北区に多く分布し,日本からは10種報告されている。このうちバラクキバチSyrista similisは,バラの新梢に産卵する害虫で,年1回,4月下旬より5月中旬にかけて成虫が出現する。雌成虫は,バラの太めの新梢に頭部を地表に向けて位置し産卵する。…

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