改訂新版 世界大百科事典 「ラシルフィード」の意味・わかりやすい解説
ラ・シルフィード
La sylphide
2幕のバレエ。ロマンティック・バレエの代表作。1832年3月,パリのオペラ座でフィリッポ・タリオーニFilippo Taglioni(1777-1871)振付,音楽シュナイツヘッファーJean Schneitzhoeffer(1785-1852)で主役をフィリッポの娘M.タリオーニが踊った。36年11月,コペンハーゲンのデンマーク王立バレエ団ではブルノンビル振付で音楽レーベンスヒョルトHerman Severin Løvenskjold(1815-70)により,L.グラーンが主役を踊った。この二つはテーマは同じだが,音楽が異なり振付もそれぞれ独自なものである。主役の〈ラ・シルフィード〉(空気の精)を踊った2人はその人気を二分したといわれる。物語はスコットランドの農村が舞台で,結婚を目前に控えた若者ジェームズに空気の精が寄り添い,若者の結婚を破滅に導く思わぬ悲劇をもたらすというもの。今日世界で上演されているのは,ブルノンビル版のほうが多いが,1972年にP.ラコットが長くとだえていたタリオーニ版をパリのオペラ座で復活上演した。日本では牧阿佐美バレエ団が76年にブルノンビル版を初演,チャイコフスキー記念東京バレエ団は,84年にタリオーニ版を初演した。
執筆者:桜井 勤
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報