上刺袋(読み)ウワザシブクロ

デジタル大辞泉 「上刺袋」の意味・読み・例文・類語

うわざし‐ぶくろ〔うはざし‐〕【上刺(し)袋】

昔、貴族外出の際、衣服などを入れて従者に持たせた袋。綾やにしきで作られた袋の側面上刺しをしたもの。底は円形または四角で、口のかがりにひもを通して締める。

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精選版 日本国語大辞典 「上刺袋」の意味・読み・例文・類語

うわざし‐ぶくろ うはざし‥【上刺袋】

〘名〙 括り緒で口を締める布帛製の袋で、縦横に絹紐を刺し縫いにしてほころびを防いだもの。中古から、宿直用の衣類を入れて従者に持参させた宿直袋(とのいぶくろ)をはじめ、旅行に盛んに用いた。近世は、絹布製で上刺しを施し、四角な底を入れ、袋の口を組糸でかがって乳(ち)とし、それにやや太い組緒を通して括り緒とした。うわざし。〔雍州府志(1684)〕

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世界大百科事典(旧版)内の上刺袋の言及

【袋物】より

…袋物はわれわれの日常生活に深くつながるため,食糧,衣服,器財,燧(火打)袋,武具などを納めるために用いたものが最も古い。衣服,器財を入れた携行袋は強さと装飾を兼ねて上刺(うわざし)をほどこして上刺袋と称し,平安時代から盛んに用いられ,江戸時代にはこれを番袋ととなえ,風呂敷とともに需要の高かった袋物である。発火器としての燧袋は,匂袋(においぶくろ)とともに腰さげ袋として古くから用いられ,のち金銭や薬品を入れるようになり,鎌倉時代には巾着(きんちやく)の発生をみた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」