円相（読み）エンソウ

デジタル大辞泉

えん‐そう〔ヱンサウ〕【円相】

禅宗で、悟りの形象として描くまるい形。心性の完全円満を表す。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

えん‐そう ヱンサウ【円相】

〘名〙

① まるい形。円形。〔日葡辞書（1603‐04）〕

② 仏語。禅宗で、人の心に本来備わっている悟りを示すために、象徴として描く円。円のなかに文字や記号をかいて、心の働きや、悟りの階梯を表わすこともある。一円相。

※正法眼蔵（1231‐53）十方「唯我知是相の相は、打円相なり。円相は、遮竿恁麼長を得、那竿恁麼短を得るなり」

③ 仏語。曼荼羅(まんだら)で、仏・菩薩の像をかこむ円輪。

④ 室町時代、京都五山の僧たちが用いた、銭一貫文の異名。貨幣の形が円いことによるという。

※蔭凉軒日録‐長享二年（1488）一一月二五日「薄晩横川和尚〈略〉持_二円相_一来」

⑤ 紋所の名。円相をかたどった紋。細線で円を描いたもの。

出典　精選版 日本国語大辞典