勝載料(読み)しょうさいりょう

改訂新版 世界大百科事典 「勝載料」の意味・わかりやすい解説

勝載料 (しょうさいりょう)

船の勝載すなわち積載品に対する関税で,古代中世の関税名称の一つ。比較的古くから見られ,838年(承和5)造大輪田瀬使が京に向かう公私の船から勝載料を徴して,その船瀬の修理にあてたという記事が初見である。1065年(治暦1)には若狭気山津,越前敦賀,近江塩津・木津大津等の津泊の刀禰(とね)らが,越中国よりの運上の調物を勝載料と号して割き取ることを朝廷で禁止している。ここでは勝載料は通行料を意味する勘過かんか)料と同義に使用されている。ただ勘過料が水陸両面にわたるのに対し,勝載料はその語義からも船荷に限る関税のようである。また先の838年の勝載料は石別5合,すなわち二百分一税であったが,一般には百分一税を意味する升米しようまい)等とは異なり,税率は一定していなかったと思われる。その後弘安年間(1278-88),先の1065年と同様,若狭気山津等が越中国の調物に勝載料を課しており,また鎌倉末に敦賀気比社が神門勝載料以下の関税を有しているが,その後は記事が見あたらないようである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の勝載料の言及

【関銭】より

…関所の通行料の呼称としては関料,関手(せきて)が鎌倉後期に,それより少し古くは関米,あるいはこれと同義の升米(しようまい)が用いられている。このような通行料の早い例としては平安初期の838年(承和5)大輪田船瀬において,〈勝載(しようさい)料〉と称してその修築費にあてるため往来船舶から通行料が徴収されていたのが挙げられる。また,鎌倉初期の1196年(建久7)には東大寺僧重源が摂津国の魚住・大輪田両泊の修復のため,両泊を通過して京上する船の運上米より石別1升を徴収した。…

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