日本大百科全書(ニッポニカ)「木津」の解説
木津
きづ
京都府南部、相楽郡(そうらくぐん)にあった旧町名(木津町(ちょう))。現在は木津川市(きづがわし)の南部を占める一地区。京都盆地の南端に位置し、奈良市に接する。1893年(明治26)町制施行。1951年(昭和26)木津町は相楽(さがなか)村を編入。2007年(平成19)加茂(かも)、山城(やましろ)の2町と合併し、市制施行して木津川市となる。東の笠置(かさぎ)山地北縁を西流してきた木津川が、方向を北にほぼ直角に変える地点にあり、古くは河港があった。藤原京や平城京造営の木材がここに陸揚げされたので、木津の名がおこったという。JRの関西本線、奈良線、片町(かたまち)線、国道24号、163号の分岐点で、京奈和(けいなわ)自動車道木津インターチェンジもあり、交通の要地。また近畿日本鉄道京都線が西部を通過し、古くから京都盆地南部の商業中心地をなしている。近年、地域の西部や西接する精華町、奈良市北部にかけての丘陵地帯に都市基盤整備公団(現、都市再生機構)によって平城・相楽ニュータウン(へいじょうそうらくにゅーたうん)が造成された。また、関西文化学術研究都市も開発され、大きく変貌しつつある。相楽(さがなか)神社の本殿、大智寺の文殊菩薩(もんじゅぼさつ)像、十一面観音(かんのん)像などが国指定重要文化財となっている。
[織田武雄]
『『木津町史』全4巻(1984~1991・木津町)』