吉原はやり小哥そうまくり(読み)よしわらはやりこうたそうまくり

改訂新版 世界大百科事典 の解説

吉原はやり小哥そうまくり (よしわらはやりこうたそうまくり)

江戸時代の歌謡集。寛文(1661-73)ころ,江戸吉原の遊里で流行した歌謡を集めたもの。現在原本は伝わらず,刊年,版元編者等も不明であるが,伝本の〈寛政版〉には,寛文2年(1662)中嶋屋伊左衛門刊とある。また,柳亭種彦の《吉原書籍(しよじやく)目録》は,延宝・天和年間(1673-84)ころの刊とする。伝本には〈寛政5年(1793)版〉〈文政2年(1819)版〉〈鹿の子版(刊年不明)〉の3系統がある。〈さかな端歌づくし〉〈ひきょく〉〈片撥(かたばち)かはりぶし〉等20種,89曲を収める。〈寛政版〉の本文の前に,《吉原大全》から転載した〈新吉原はじまりの事〉をおく。この版は錯簡(乱丁)があり,文政,鹿の子両版にも引き継がれたが,《日本歌謡集成》で改められた。菱川師宣風の挿絵は後に添えられたとする説もある。〈さかな端歌づくし〉が端歌の語の初見となるなど,近世初期俚謡集としての資料的価値は大きい。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android