朝日日本歴史人物事典 「文吉」の解説
文吉
生年:生年不詳
幕末,京都の目明。猿の文吉とも呼ばれた。安政5(1858)年,九条家家士島田左近の指示に従って志士の探索・捕縛に当たった。これが恨みを買い,文久2(1862)年,岡田以蔵ら尊攘派の浪士に自宅から拉致され,くびり殺されて三条河原にさらされた。捨札に「非分の償金を貪り,其上,島田所持致し候不正の金子を預り,過分の利足を渙にし」とあり,高利貸しもしていたらしい。同じ捨札にはこうも書かれている。「同人死後に至り,右金子借用の者は,決して返済に及ばず候」。
(井上勲)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報