新潟県中北部、北蒲原郡(きたかんばらぐん)にあった旧町名(安田町(まち))。現在は阿賀野市(あがのし)の南部を占める一地区。1960年(昭和35)町制施行。2004年(平成16)水原(すいばら)町、京ヶ瀬(きょうがせ)、笹神(ささかみ)の2村と合併して市制施行、阿賀野市となる。旧安田町は、阿賀野川谷口に位置し、旧安田町役場(現、阿賀野市安田支所)のある保田(やすだ)で国道49号と290号が交差する。阿賀野川沿いに磐越自動車道(ばんえつじどうしゃどう)が通じ、安田インターチェンジがある。古くから庵地焼(あんちやき)、安田瓦(がわら)の産地として知られる。阿賀野川の峡谷から吹く南東風「安田だし」を利用した風車灌漑(かんがい)農や酪農、肉牛生産が盛ん。新潟県酪農発祥の地。越後(えちご)七不思議の一つ、親鸞(しんらん)の播(ま)いた焼き栗(ぐり)が3回花をつけたという三度栗の伝説にちなむ孝順寺(こうじゅんじ)があり、縄文時代のツベタ遺跡、縄文から弥生にかけての六ノ瀬遺跡などがある、北東には五頭(ごず)連峰県立自然公園、南の阿賀野川を望む景勝地にレジャー施設のサントピアワールドがある。
[山崎久雄]
高知県東部、安芸(あき)郡の町。土佐湾に臨む。1925年(大正14)町制施行。1943年(昭和18)中山村と合併。町域は安田川流域に広がり、市街地は河口右岸に位置する。東方の田野町、奈半利(なはり)町と同様、上流の馬路(うまじ)、魚梁瀬(やなせ)の林業地帯を背景にして早くから商業が盛んで、酒造業も立地する。唐浜(とうのはま)の砂浜地帯から背後の沖積低地にかけては施設園芸が盛んで、ナス、ミョウガ、ピーマン、シシトウの生産が多く、山腹斜面ではユズ栽培がみられる。海岸沿いを国道55号が走り、土佐くろしお鉄道阿佐線(ごめん・なはり線)が通じる。神峰(こうのみね)寺は四国八十八か所第27番札所。北寺は国指定重要文化財の木像薬師如来(にょらい)坐像など藤原期の仏像を所蔵する。面積52.36平方キロメートル、人口2370(2020)。
[正木久仁]
高知県東部,安芸郡の町。人口2970(2010)。南は土佐湾に面し,町域は安田川沿いに北東に細長く延びる。川沿いの一帯は北接する馬路村域にかけて,中世には金剛頂寺(室戸市)領安田荘の地であった。空海は同寺建立にあたり用材を馬路の山中に求め,その際自刻の仏像を別所の北寺など3寺に残したと伝える。南北朝期から戦国時代にかけて安田荘内では土豪惟宗(安田)氏が勢力を有し,東島の土居屋敷の地にその城跡がある。海岸部の唐浜(とうのはま)では施設園芸が盛んで,野菜の促成栽培が行われる。製材業や良質の水資源を活用しての酒造業なども行われる。唐浜には四国八十八ヵ所27番札所の神峯(こうのみね)寺がある。北寺の本尊薬師如来座像ほか仏像8体は重要文化財。海岸沿いを土佐くろしお鉄道線,国道55号線が走る。
執筆者:萩原 毅
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