品川氏(読み)しながわうじ

改訂新版 世界大百科事典 「品川氏」の意味・わかりやすい解説

品川氏 (しながわうじ)

武蔵国品川郷を本領とする中世武家。紀氏の流れをくむ武蔵国東部の武家大井氏の一族で,兵三武者実直の子清実が品川郷を分領して品川(河)を称したのにはじまる。江戸・畠山等の国内雄族とともに,1180年(治承4)10月ころ源頼朝の麾下きか)に参じたと思われ,84年(元暦1)清実が品川郷に関する雑公事免除の下文を頼朝から得ている。その後,清実の平氏追討戦における勲功等によって,和泉,伊勢,陸奥に所領を得て発展。とくに和泉国草部郷を拠点としつつ,隣国紀伊の粉河寺領丹生屋村地頭職を相伝した清尚・為清・宗清の系統が,高野山領名手荘荘民と水無川の水利等をめぐって激しい争いをくり返したことで史上有名。鎌倉中期以降北条氏得宗による侵食が進んだ武蔵国南東部にあった品川惣領家は低調で,下って1424年(応永31)足利持氏による堀内分を除く品川郷没収により,ついに没落した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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