精選版 日本国語大辞典 「陸奥」の意味・読み・例文・類語
むつ【陸奥】
[一] =みちのく(陸奥)
[二] 東山道八か国の一国。古代の蝦夷地で、九世紀までは蝦夷がその半ばを占拠し、大化改新後白河以北全域を道奥(みちのおく)国とし、令制で陸奥国と書かれ、のち「みちのく」「むつ」と読まれた。和銅五年(七一二)日本海側を出羽国として分割。平安後期には安倍・清原・藤原氏が実権をにぎり、鎌倉時代は奥州総奉行が、室町時代は奥州探題、のち関東管領が管轄。戦国時代は伊達・南部などの諸氏が争ったが、豊臣秀吉の平定を経て、江戸時代は盛岡・仙台・会津の大藩とその他小藩が分立。明治元年(一八六八)磐城(いわき)・岩代・陸前・陸中・陸奥の五か国に分割されたが、同四年の廃藩置県後は福島・宮城・岩手・青森の四県と秋田県の一部となる。
みち‐の‐く【陸奥】
(「みちのおく」の変化した語) 陸前(宮城県・岩手県)・陸中(岩手県・秋田県)・陸奥(むつ)(青森県・岩手県)・磐城(いわき)(福島県・宮城県)・岩代(福島県)の奥州五国の古称。出羽(山形県・秋田県)を加えた奥羽、今の東北地方を漠然とさしていうこともある。みちのおく。みちのくに。むつ。
※万葉(8C後)一四・三四二七「筑紫なる匂ふ児ゆゑに美知能久(ミチノク)の可刀利をとめの結ひし紐解く」
みち‐の‐くに【陸奥】
(「みちのおくのくに」の略か、「みちのく」が「道の国」の意と意識されてできた語か) =みちのく(陸奥)
※伊勢物語(10C前)一四「むかし、をとこみちのくににすずろに行きいたりにけり」
みち‐の‐おく【陸奥】
=みちのく(陸奥)〔二十巻本和名抄(934頃)〕
むつ【陸奥】
姓氏の一つ。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報